ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「〜している」という持続の表現

中国語のアスペクトの一つとして
動詞の後ろに「着」がついて
状態の持続を表す用法があります。

前回、「〜している」という動作の進行について書きました。
 ↓ ↓ ↓
「〜している」という進行形の表現

今回も「〜している」という意味ですが
進行のアスペクト
「今現在その動作をしている」
ということを表すのに対し
持続のアスペクト
「その動作の状態が続いていること」
を表します。

またまたややこしい。。。
とにかく、「千と千尋」のセリフを
例文だと思って見てみましょう。


まずは冒頭の車のシーンです。

千尋妈妈,花快死掉了
   mā ma   huā kuài sǐ diào le
   お母さん、お花しおれちゃった

母:都是你一直捏着它才会这样子的
  dōu shì nǐ yī zhí niē zhe tā cái huì zhè yàng zi de
  あなたずーっと握りしめてるんだもの

千尋のセリフの「快〜了」の表現は
「もうすぐ〜する」という、
動作が始まろうとしていることを表す
アスペクトの一つです。
「花がもうすぐ枯れそうだ」となります。

そのあとのお母さんのセリフで、
「捏」という「握る」という意味の動詞に
動作の状態の持続を表す「着」がついて
「握っている」となります。

「握った状態が続いていて今もその状態で
いること」をあらわしていて
「ギュッと握る動作が今まさに行なわれた
ところ」っていうわけではないですね。
そこが進行の「〜している」との違いになります。


次は銭婆の家で、
千尋が銭婆にハンコを返した場面です。

你拿着这个什么事都没发生吗?
nǐ ná zhe ge shén me shì dōu méi fā shēng ma
お前これを持ってて何ともなかったのかい? 

「拿」は「持つ」という動詞です。
「着」がついて「持っている」となります。

実際にはハンコを返した後なので
このセリフを言っている時は
ハンコを持っている状態ではありません。

中国語のアスペクト
あくまでその動作の状態を表すものなので
その動作の状態の時点が過去だったり
未来だったりしても表現できます。

「拿着」で「持っている状態が続いた」
ということを表しています。


次はトンネルの中を歩くときに
お父さんが言ったセリフです。

小心看着走啊
xiǎo xīn kàn zhe zǒu a
足もと気をつけな

「看」という動詞の後に「着」がきて、
さらにその後ろに動詞の「走」がきています。

このように
「動詞1」+「着」+「動詞2」という形で
どの様な状況で「動詞2」の動作が行われるかを表すことができます。

「看着走」で「見ながら歩く」
というようなニュアンスになり
「気をつけて歩く」「注意して歩く」となります。


次もこの形の表現です。
千尋とハクが銭婆のところから戻ってきた時に
坊の姿をみて湯婆婆が言ったセリフです。

宝宝,你已经会站着走了
bǎo bao   nǐ yǐ jing huì zhàn zhe zǒu le
坊、あなた1人で立てるようになったの?

「站」+「着」+「走」の形です。
「立って歩く」ですね。
「立つ」という状態で「歩く」という動作を
行うことを表しています。


最後は湯婆婆のセリフです。
先ほどの坊が立つ場面の少し前で、
まだネズミの姿から戻る前なので
湯婆婆は坊がいないと勘違いして言います。

怎么没有带着宝宝一起回来呀
zěn me méi yǒu dài zhe bǎo bao yī qǐ huí lái ya
坊は連れて戻ってきたんだろうね

持続を表す「着」のある文を否定する場合は
「不」で否定するのではなく
「没」または「没有」を使います。
「帯」は「持っていく」「連れていく」
という意味の動詞で
「帯着」で「連れている」という状態を表します。

日本語のセリフでは
「連れて戻ってきたんだろうね」
と否定形になっていませんが
中国語では
「どうして坊を連れて戻ってきてないのか」
という様に否定形で表現しています。

進行形の否定形でも「没(有)」が使われます。
その場合は「正」「在」「正在」が
消えてなくなりますが
「着」を使った状態の持続を表す文が
否定形になった場合は
「着」が消えずに残ります。
(例外もある様ですが・・)


千と千尋」のセリフの中では
「着」を使った表現はけっこう使われていて
「在」を使った表現と同じくらいの頻度で
使われていました。
今回はその一部分しか紹介できませんでしたが
自分ノートにはその表現が使われていたセリフを全部列挙してながめています。

こういう似ていてややこしい用法は
実際の会話(セリフ)の中で
どの様な使われ方をしているのかを見てみると
けっこう理解が深まる様に感じました。