ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

可能補語の否定形

中国語の補語は本当にややこしい。
今まで「千と千尋」に出てくるセリフの中から
「方向補語」と「結果補語」について
取り上げたことがありました。

今回は「可能補語」について
勉強したいと思います。
「可能補語」は
方向補語や結果補語から派生して
「動詞」と「方向補語」「結果補語」の間に
「得」を入れると
「〜できる」という可能を表し
「不」を入れると
「〜できない」という不可能を表します。

可能補語はどちらかというと
否定形で使われることが多いようです。
千と千尋」の中でも
可能補語は出てきましたが
圧倒的に否定形が多く使われていました。

今回は可能補語の中でも
「不」を使った否定形について
取り上げたいと思います。

千と千尋」のセリフの中では
かなりの回数登場してきました。
全部を紹介すると
すごいボリュームになってしまうので、
その中でいくつかを紹介したいと思います。


まずは湯婆婆のセリフです。
「働かせてください」と
千尋がお願いする場面で
湯婆婆がグチグチ言う中の一節です。

你也回不去原来的世界
nǐ yě huí bu qù yuán lái de shì jiè
お前も元の世界には戻れないよ

「回不去」の部分が
可能補語の否定形になっています。
「動詞」+「不」+「方向補語」の形ですね。
「回」は「戻る」という意味の動詞で
「去」は「行く(離れる)」ということを
表す方向補語になります。
「回去」で「帰って行く」「戻って行く」
という意味になります。
「回不去」で「戻って行けない」となります。


次は大暴れしたカオナシ
「千は何が欲しい?言ってごらん」
と言った後に千尋が言ったセリフです。

我想要的东西你绝拿不出来
wǒ xiǎng yào de dōng xi nǐ jué ná bu chū lai 
私が欲しいものはあなたには絶対出せない

「拿不出来」の部分です。
こちらも「方向補語」のバージョンです。
「拿」は「取る」「持つ」という意味の動詞で
「出来」は「出てくる」ということを
表す方向補語になります。
「拿不出来」で「取り出してこれない」
「持ち出して来れない」のようなニュアンスになります。


次は、橋での息止めが失敗した時の
千尋のセリフです。

对不起,我憋不住了
duì bu qǐ   wǒ biē bu zhù le
ごめん、私息しちゃった・・

「憋不住」が可能補語の否定形です。
「動詞」+「不」+「結果補語」の形です。
「憋」は「我慢する」「こらえる」
という意味の動詞です。
「住」は「安定・固定」を表す結果補語です。
「憋不住」で「我慢できない」となります。

日本語のセリフでは「息しちゃった」ですが
中国語では「我慢できなかった」と
違った角度からの表現になっていますね。

トイレが我慢できないって時も
「憋不住」は使えるようです。


次はハクのセリフです。
千尋が自分の名前を忘れかけていたときの
場面です。

名字一旦被夺走
míng zi yī dàn bèi duó zǒu
名を奪われると

就再也找不到回家的路了
jiù zài yě zhǎo bu dào huí jiā de lù le
帰り道がわからなくなるんだよ

「找不到」の部分です。
こちらも「結果補語」のバージョンです。
「找」は「探す」「みつける」という動詞です。
「到」はここでは「目的を達成する」
という意味の結果補語として使われています。
「找到」で「探し出す」という意味になり
「找不到」で「探し出せない」
「みつけられない」という意味になります。

「帰り道がわからなくなる」
という日本語のセリフを
「帰り道がみつけられなくなる」
と中国語では表現しています。


可能補語の否定形は
「〜できない」という意味になるので
不能」を使えばいいじゃないか
って思うのですが
微妙にニュアンスが違うようです。

可能補語の否定形は
「しようとするが実現できなかった」
という意味合いになり
不能」の方は
「そもそも条件がそろわなくて無理」
という意味合いや
「〜するな」という「禁止」の意味合いが
出てしまうこともあるようです。

そのあたりを意識しながら
可能補語の否定形を使いこなせるようになると
よりいっそう上級に近づいていくんじゃないかな、と思いました。