ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

方向補語の「下去」

前回は方向補語の「下来」について
書きました。
 ↓ ↓ ↓
方向補語の「下来」

今回は同じく方向補語の「下去」について
書こうと思います。

「動詞/形容詞」+「下去」の形で表されます。
「下」は下方向を示し
「去」は話し手から離れていく方向を示すので
「下去」は「下りて行く」ことを表しますが
「下来」」同様、
それだけでは無いんですよね。

やはり抽象的な表現でも使われます。
・動作が未来へ継続されることを表す
・分離を表す(取る、消すなど)
・形容詞+「下去」でその状態が継続や発展を表す
などなど。


千と千尋」の中では
どの様な使われ方をしているのでしょうか。

まずは湯婆婆のセリフです。
千尋が「働きたい」とお願いした時
坊がぐずり出して湯婆婆があやした後のセリフです。

你还在这里干什么
nǐ hái zài zhè li gàn shén me
まだいたのかい

还不赶快滚下去
hái bù gǎn kuài gǔn xià qu
さっさと出ていきな

「滚」は「立ち去る」「消え失せる」
という意味の動詞です。
「滚下去」は下方向へ
その場から離れることを示しています。
一般的には「出て行け」は
「滚出去」を使うことが多い様ですが
2階や上階の部屋から「出て行け」と言う時に
使うことがある様です。
湯婆婆の部屋は最上階ですもんね。
「鉛筆が転がり落ちる」と言う時にも
「滚下去」を使ったりする様です。


次はハクのセリフです。
橋で千尋のことがバレて大騒ぎになり
「ここにいて」と千尋に頼まれた後に
ハクが千尋に言った言葉です。

想要在这里生存下去
xiǎng yào zài zhè li shēng cún xià qu
この世界で生き延びるためには

你只有这一条路
nǐ zhǐ yǒu zhè yī tiáo lù
そうするしかないんだ

「生存」は「生きる」という意味の動詞で
ここでの「下去」は
未来への継続を表しているので
「生存下去」で「生きていく」という
ニュアンスになります。
日本語のセリフの「生き延びる」を
中国語では「下去」で表現しています。


次は千尋のセリフ。
千尋が竜のハクにニガダンゴを
食べさせる場面です。

张开,好孩子
zhāng kāi   hǎo hái zi
開けて、いい子だから

不会有事的
bú huì yǒu shì de
大丈夫

吞下去
tūn xià qu 
飲み込んで!

「吞」は「飲み込む」という意味の動詞です。
一般的な「飲む」は「喝」を使うのですが
「吞」は「丸呑みする」という
ニュアンスがある様です。

あと「咽」という言葉もあって、
そちらは「ゴクッと飲み込む」ような
ニュアンスになります。
「唾を飲み込む」とか「言葉を飲み込む」
と言う時に使います。

「吞」に「下去」を組み合わせると
「呑み下す」というような意味になります。
口に入れたものが胃へと送り込まれる
イメージですね。
「下去」で「下りて行く」ことを表現しています。


最後は釜爺のセリフです。
ハクにニガダンゴを食べさせた後です。

这魔法还真厉害啊
zhè mó fǎ hái zhēn lì hai a
魔法の傷は油断できんが

喝下去如果能好一点就没问题啦
hē xià qu rú guǒ néng hǎo yī diǎn jiù méi wèn tí la
これで少しは落ち着くといいんだが

「喝」は「飲む」という動詞です。
先ほどの「吞下去」と同じ様に
この「下去」も「下へ行く」ことを表していて
「飲み込む」という意味になります。

「喝下去」は先ほど「吞下去」した
ニガダンゴのことを言っています。
日本語のセリフの「これで」の部分ですね。
「苦団子を飲んだ」から
「良くなれば問題ない」というわけです。

千尋は「吞下去」と表現しましたが
釜爺は「喝下去」と表現していて
このあたりのニュアンスの違いは
どうなんでしょう。

千尋が飲ませた時は団子なので
丸呑みのイメージが強いのかもしれません。
ただ、中国って「薬を飲む」と表現する時は
「喝」じゃなくて「吃」を使うんですよね。
水薬は「喝」ですが、
丸薬など個体は「吃」です。
だから、苦団子は「丸呑み」は分かりますが「喝」はちょっと違和感を感じます。

「喝下去」になると、「飲み込む行為」に
焦点を当てているのでしょうか。
ちょっと詳しいことは分かりません(汗)


他にもいっぱい、いろんな「方向補語」が
セリフの中に出ていました。
またおいおい、ひとつずつ勉強していきたいと思います。