ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

形容詞の重ね型「好好」の表現

中国語の形容詞の重ね型について
前回紹介しましたが
「好」という形容詞の重ね型の
「好好」という言葉は
セリフの中でたびたび出てきたので
前回書ききれませんでした。
今回は「好好」に限定して紹介していきたいと思います。

「好好」以外の形容詞の重ね型については
こちらです。
 ↓  ↓  ↓
形容詞の重ね型

「好」は「良い」という意味の形容詞で
細かくいうともっといろいろな意味合いを
持っているのですが
とりあえずは英語でいうところの
「good」にあたる言葉が
一番しっくりくるかもしれません。

とにかくよく使う言葉で、
中国に滞在していた時、大抵の受け答えは
「好」で事足りていたように思います。
とにかく「ハオ」ばかり言ってました(笑)
「OK」みたいなノリですね。

この形容詞を重ねて「好好」にすると
状態形容詞となり名詞を修飾する場合は
「良い状態」「ちゃんとした状態」
であることを表し
副詞的な役割として動詞を修飾する場合は
「よく〜する」「ちゃんと〜する」
「しっかり〜する」という使い方になります。

千と千尋」の中でたびたび出てきましたが
いずれも動詞を修飾する副詞的役割として
「好好」が使われていました。

その中の一部を紹介したいと思います。
まずは湯婆婆のセリフから。
カオナシが大暴れして千尋を呼び出し
「大損だ!」と言って次のセリフを言います。

好好捧着他
hǎo hǎo pěng zhe tā
あいつをおだてて

叫他把钱都拿出来
jiào tā bǎ qián dōu ná chū lai
しぼれるだけ金をしぼり出せ

まるで取り立て屋みたいなセリフですね(笑)
「捧」は「おだてる」という意味の動詞です。
「好好」をその前に置いて
「しっかりおだてる」という意味になります。
「着」は動作の持続を表すので
「おだてながら」という意味合いになり
つぎの「しぼり出す」に続きます。


次はハクのセリフです。
千尋が自分の名前を忘れかけていた時に
このように助言しました。

你把名字好好藏起来
nǐ bǎ míng zi hǎo hǎo cáng qǐ lai
いつもは千でいて

像我的就已经被夺走了

xiàng wǒ de jiù yǐ jing bèi duó zǒu le
本当の名前はしっかり隠しておくんだよ

日本語のセリフと中国語の翻訳は
意味が違っています。
「藏」は「隠す」という動詞です。
「把〜藏起来」で
「〜を隠す」という意味になるようです。
直訳すると「あなたは名前をしっかり隠す」
となります。

続くセリフについては
「我的」の後には「名字」が省略されていて、
「像」は「〜のようだ」「どうやら〜らしい」というように使えるので
「私の名前はすでに奪われてしまったようだ」
という意味になります。
この部分は日本語のセリフにない、
中国語オリジナルですね。


最後は銭婆の家の場面から。
千尋とその他3人に銭婆が声をかけます。

今天已经晚了
jīn tiān yǐ jing wǎn le
今日は遅いから

你们好好休息

nǐ men hǎo hǎo xiū xi
ゆっくりしていきな

「休息」は「休息する」という動詞です。
「好好休息」で「しっかりと休む」となります。

そのあとハク が迎えにきた時に
銭婆がハクに対して言います。

白龙,你做的事我也不追究了
bái lóng   nǐ zuò de shì wǒ yě bù zhuī jiū le
ハク竜 あなたのした事はもうとがめません

要好好保护这孩子
yào hǎo hǎo bǎo hù zhè hái zi
その代わりその子をしっかり守るんだよ

别让她受伤

bié ràng tā shòu shāng

「保护」は「保護する」という動詞です。
「好好保护」で「しっかり守る」ですね。
その後のセリフ「别让她受伤」は日本語にはないセリフですが
中国語吹き替えでは付け足されていました。
「彼女を傷つけないで」という意味になります。

そして千尋が銭婆と別れる時に
自分の本当の名前を銭婆に教えます。

千寻,真是好名字
qiān xún   zhēn shì hǎo míng zi
千尋・・いい名前だね

要好好珍它哟
yào hǎo hǎo zhēn tā yo
自分の名前を大切にね

「珍」は「大切にする」という動詞です。
「好好珍」で「ちゃんと大切にする」となります。


今回は全部は紹介できませんでしたが
他のセリフの中でも「好好」は
ちょこちょこと使われていました。

「好好」は「儿化」して
「好好儿」という形でも同じように使えます。
その場合は発音は2音節目が第1声に変わり
「hǎo hāor 」となります。
テキストの例文などでは「好好儿」の方が
よく使われてる印象ですが
千と千尋」の中では「好好儿」ではなく
「好好」が使われていました。

何かあるんですかね。
地域性とか、訳者の好みとか、
どっちの方が口語的とか。
よく分かりませんが(汗)
どっちも覚えといたらいいと思います。