ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「胸がドキドキ」を中国語でいうと

風の谷のナウシカ」の中で
ナウシカが「胸がドキドキする」
というセリフを言う場面があります。

「胸がドキドキ」っていったら
何かの発表会の直前とか
憧れの先輩に不意に出くわした時とか
そんな状況を想像してしまいますが
ナウシカがドキドキしたのは
緊張でも恋でもなさそうですね。
どちらかというと胸騒ぎのような
シチュエーションだと思います。


冒頭の場面、
ナウシカ腐海の森で寝っ転がって
降ってくる胞子に見とれている時です。

是谁?
shì shéi
ハッ?だれ?

是谁呢?
shì shéi ne  
何かしら

我的心跳得好快
wǒ de xīn tiào de hǎo kuài
胸がドキドキする

このあと銃声が聞こえて
ナウシカが駆けつける場面となります。

「心跳」は動詞として
「動悸がする」「胸がドキドキする」
という意味で使うこともあるようですが
ここでは「我的心」が主語で「跳」が動詞
という構図っぽいですね。

「跳」は「跳ねる」「(心臓が)脈打つ」
などの意味があります。
そのあとの「得」は助詞で、
後ろから動詞の状態を修飾しています。

「我的心跳得好快」は
「私の心臓はとても早く鼓動(ドキドキ)しています」というような意味になります。

この部分の字幕はこうなっています。

是谁?
shì shéi

是怎么回事?
shì zěn me huí shì  

我觉得心神不安的
wǒ jué de xīn shén bù ān de

日本語のセリフの「何かしら?」の部分、
吹き替えだと「是谁呢?」となっていて
何っていうよりは誰ってことを言ってますが
字幕では「是怎么回事?」となっていて
「何事か?」とか「どういうこと」という意味になってます。

胸がドキドキの部分は
吹き替えとは違った表現になっていますね。
「觉得」は「感じる」「気がする」
といった意味の動詞です。
心神不安」は精神が安定していない様子や
気持ちがそわそわしていることを表します。

「我觉得心神不安的」は
「私は気持ちが落ち着かない」とか、
そんな感じになるのでしょうか。

日本語の「ドキドキ」のような擬音語、
擬態語って(オノマトペとも言いますが)
中国語ではどのように表現するのかな?
と興味がありましたが
普通に動詞や形容詞で言葉的に表されるんですね。

中国語はオノマトペの表現が少ないようです。
もちろん無いわけではなく
「ワンワン」は「汪汪 wāng wāng」
「ニャーニャー」は「喵喵 miāo miāo」
とかあるようですが
日本語と比べて圧倒的に少ないようですね。

以前中国に滞在していた時に
中国人の日本語を学ぶ学生さんと
話したことを思い出しました。
日本語の難しいと感じるところを聞いた時に
「擬音語・擬態語と外来語」と答えてました。

外来語(カタカナの単語)についても
いろいろと思うところがあるようでしたが
それについてはとりあえず置いといて
擬音語と擬態語は感覚的なもの
(しかも日本人的な感覚)なので
ひたすら暗記していくしかないと
嘆いていました。
日本語のオノマトペは中国人に限らず、
各国の日本語学習者を困らせているのかもしれませんね。


話をナウシカに戻します。
この「胸がドキドキする」のセリフ、
実はもう一回出てきます。

アスベルと腐海の底で過ごしたあと
翌日にメーヴェでペジテへ向かう場面です。

虫群不见了
chóng qún bú jiàn le
蟲たちがいない

为什么内心如此不安呢
wèi shén me   nèi xīn rú cǐ bù ān ne
なぜかしら、こんなに胸がドキドキする

「为什么」は「なぜ」です。
「内心」は「心の中」
「如此」は「このような」「こんなに」
「不安」は「不安である」「落ち着かない」
の意味なので
「なぜ心の中がこんなに落ち着かないのかしら」って感じですね。

この部分、字幕ではこうです。

为什么我心跳得这么快?
wèi shén me wǒ xīn tiào de zhè me kuài  

この表現はひとつ目の方の吹き替えの
「我的心跳得好快」に似ています。

ひとつ目の方は
「我的心跳得」で「的」が入っていて
「我的心」が主語になっていました。
こちらの字幕は、主語が「我」で「心跳」が
動詞になっているとも解釈できそうですが
もしかしたら「我心」の間の「的」が
省略されているだけかもしれません。

意味としては大きく変わる事はないと思います。
「私は(の)胸がドキドキする」

「得」以下は「好快」と「这么快」の違いで
「とても早い」と「こんなに早い」という
微妙な表現の違いになっています。


「胸がドキドキする」
というシンプルな日本語ですが
中国語に翻訳するといろいろな表現がある
ということがわかりました。

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