ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「并」で否定文を強調する

風の谷のナウシカ」のセリフの中で
「并」という言葉が何回か出てきます。

「并」は
①動詞として
「合わせる」「一つにする」という意味
②接続詞として
「さらに」「そのうえ」「また」という意味
③副詞として
「共に」「並んで」という意味
④副詞として否定文を強調する
などの様々な用法があります。

風の谷のナウシカ」で使われていた「并」は
いずれも④の用法として使われていました。

否定の副詞「不」「没」「非」「未」「无」
などの前に用いて
「決して〜でない」「〜というわけではない」
というように否定を強調し
「実際は〜だ」という気持ちを示す効果があります。


ナウシカ」の中では
どのようなセリフで使われていたのでしょうか。

まずはクシャナのセリフです。
トルメキア兵がジルを殺害し
暴れるナウシカをユパが止めたあと
トルメキアに対して説教し
クシャナが「諌言耳が痛い」といって
それに続くセリフです。

我们的目的并不是杀戮
wǒ men de mù dì bìng bú shì shā lù 
我らが目的は殺りくではない

否定の副詞「不」の前に「并」がきて
「不是杀戮」を強調しています。
「并」があることで
「殺戮が目的というわけではない、実際の目的は別にある」ということを示しています。


次はナウシカのセリフです。
トルメキアの船がアスベルに襲撃されて
脱出し腐海の森に不時着した場面です。
クシャナが銃を出して
「動くな!」と威嚇した後です。

这里并不是人类的世界
zhè lǐ bìng bú shì rén lèi de shì jiè 
ここは人間の世界じゃないわ

光是开枪
guāng shì kāi qiāng 
銃を使うだけで

就不知道会导致什么后果
jiù bù zhī dào huì dǎo zhì shén me hòu guǒ 
何が起こるか分からないところよ

この文でも「并」は「不」の前です。
「不是人类的世界」を強調しています。
「ここは人間の世界じゃない」につづいて
「虫の世界よ」というセリフが聞こえてきそうですね。


次もナウシカのセリフです。
腐海の森の不時着後にクシャナが銃を発砲し
王蟲に囲まれてしまい
ナウシカ王蟲に話しかける場面です。

王虫,对不起
wáng chóng   duì bu qǐ
王蟲ごめんなさい

打扰了你们 实在很抱歉
dǎ rǎo le nǐ men shí zài hěn bào qiàn 
あなた達の巣を騒がして

不过请谅解
bú guò qǐng liàng jiě
でもわかって

我们并不是敌人
wǒ men bìng bú shì dí rén
私たちあなた方の敵じゃないの

「并」は「不是敌人」を強調しています。
「敵じゃない」ということを強く否定して
「味方だ」ということを示したいのだと思います。

「打扰了」は「お邪魔しました」、
「实在很抱歉」は
「本当に申し訳ありません」の意味で
どちらもよく使われるフレーズです。
「あなた達(の巣)をお邪魔して本当にごめんなさい」というような意味になります。


「并」は他にも何ヶ所か使われていましたが
いずれも「不」と合わせて使われていました。

字幕では吹き替えと同様に
「并」が使われているものもあれば
「并」が抜けて使われていないものもありました。

全体の意味としては
大きく変わることはないと思いますが
ニュアンスはちょっと変わるのかもしれません。

どのくらいの強調の効果があるのか
ネイティブの知り合いができたら
いつか聞いてみたいです。


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