ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「又~又~」の用法

中国語の「又」は
「また」という意味で使われますが
千と千尋」の中で「又〜又〜」という表現で
何回か使われていました。

「又〜又〜」の「〜」の部分は
「動詞」または「形容詞」がきます。
「動詞」がくると
「~をしたり~をしたり」という意味になり、
「形容詞」がくると
「〜でもあり〜でもある」という意味になります。

例えば
她又唱歌又跳舞
tā yòu chàng gē yòu tiào wǔ
彼女は歌ったり踊ったりする

这只猫可爱又聪明
zhè zhī māo yòu kě ài yòu cōng míng

この猫は可愛くて頭がいい

こんな感じで使います。
千と千尋」の中では
どのように使われているでしょうか。


まずはリンのセリフから。
釜爺のところに「飯だよー」と持っていったら
千尋がいて「うわっ!人間がいるじゃん!」と驚いた後に続くセリフです。

 难怪刚刚楼上又吵又闹的
 nán guài gāng gang lóu shàng yòu chǎo yòu nào de
さっき上で大さわぎしてたんだよ

「又」のあとに
「吵」と「闹」がそれぞれ続きます。
どちらも「騒ぐ」という意味合いの動詞です。
「騒いだり、騒いだり」というところから
「大騒ぎ」となるのでしょうか。


次は銭婆のセリフです。
湯婆婆の部屋でケガをした竜のハクについて
「そいつは泥棒だ、私からハンコを盗んだ」
みたいなことを言ったら
千尋が「ハクはそんなことしない、
優しい人だもん」と反論。
それについての銭婆のコメント。

龙都恨温柔
lóng dōu hèn wēn róu
竜はみんな優しいよ

又温柔又愚蠢
yòu wēn róu yòu yú chǔn
優しくて愚かだ

「又」のあとに優しいの意味の「温柔」と
愚かだの意味の「愚蠢」を並べています。
形容詞バージョンですね。

「又」のあとには似たような意味合いの
言葉がくることが多いですが
この場合は「優しい」と「愚か」で
プラスの意味とマイナスの意味がきています。
このように対立した言葉にも使えるようです。

ちなみにこの部分、
字幕では「温柔但愚蠢」と表現されています。
「但」でつないで
「優しいけど愚かだ」と表現していますね。
反対の意味なのでこちらの方が
しっくりいきそうですが
日本語のセリフでは逆説を使っていないので
吹き替えの表現の方が合ってるようにも思います。


次は湯婆婆のセリフからふたつ。
千尋が「ここで働かせてください」と
お願いしたときの場面です。

又瘦又小的能做什么呀
yòu shòu yòu xiǎo de néng zuò shén me ya
そんなヒョロヒョロに何ができるのさ

「ヒョロヒョロ」の部分が
「又瘦又小」な訳ですね。
「痩せてて小さい」なので間違いないです。
こちらは字幕だと
那么弱小」となっています。 
字幕だとあまり「又」を使わずに表現しているようですが、
口語的なんでしょうか?
それとも訳者の好みの問題かな?

你看起来又笨又爱撒娇又爱哭

nǐ kàn qǐ lai yòu bèn yòu ài sā jiāo yòu ài kū
見るからにグズで甘ったれで泣き虫で

ひどい言われようです。
「又」で三つの言葉を繋いでいます。
「笨」は「にぶい」という形容詞、
「爱」は「よく〜する」という動詞で
「撒娇」の「甘ったれる」と
「哭」の「泣く」と一緒に使って
それぞれ「よく甘ったれる」
「よく泣く」という動詞になります。

「又〜」は二つじゃなくても
いくつでも並べて使うことができます。
形容詞と動詞の両方が混ざった例文は
見たことがなかったのですが
こういう使い方もするんですね。
(するのかな?)

いくつでも並べられる、とは言っても
三つ並んでも結構くどく聞こえます。
この場面では湯婆婆がかなり憤慨してるので
あえて強調してくどくど言ったんでしょうね。

相手を褒める時は「又」を使って
たくさん並べて言ってみるといいかもしれませんね。