ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「諌言耳が痛い」のセリフ

風の谷のナウシカ」の中で
数々の名言がありますが
その中のひとつにクシャナのセリフがあります。

トルメキア軍が風の谷の城に攻め入って
ジルを殺害したあとナウシカが大暴れし
止めに入ったユパ様が
トルメキア軍に対して説教をする場面です。

トルメキアの船を救出しようと働き
死者を丁重に葬ったのに
その国に対するこれが礼儀か!
というお叱りを受け
クシャナが言います。

諌言耳が痛い

このセリフ、有名ですよね。
実は意味がちょっと分からないのですが
なんとなく雰囲気で
かっこいいこと言ってるなーと思ってました。

「諌言」とは
「目上の人の欠点や過失を指摘して忠告すること」という意味があるようです。

「甘言耳に快く、諌言耳に痛し」
ということわざがあります。
「自分を甘やかす言葉は聞き入れやすいが、
自分を諌める言葉は聞き入れ難い」
という意味のようです。

「諌言耳に痛し」と「諫言耳が痛い」は
ちょっとニュアンスが違うかもしれませんね。

クシャナのこのセリフは
諌言(忠告)が核心をついていて聞くのが辛い
といった感じですかね。


このセリフ、中国語吹き替えでは
このように表現されていました。

你说得很有道理
nǐ shuō de hěn yǒu dào lǐ 
諫言耳が痛い

「得」は動詞の後ろについて
その動詞の結果や状態を補足する言葉を
後につなぐ役割があります。

「有道理」は
動詞の「有」+名詞の「道理」という解釈で
「道理がある」という様にも訳せますが
「有道理」で形容詞のひとつの単語として
捉えることもできます。
形容詞の場合は
「道理にかなっている」「もっともだ」
という意味になります。
どちらでも意味に大差はないのですが。
助詞の「得」と副詞の「很」の後なので
ここでは形容詞としての「有道理」になるのかな、と思います。

セリフ全体としては
「あなたの言う事は道理にかなっている」
「あなたは道理にかなっていることを言う」
というようなニュアンスになると思います。

「諫言耳が痛い」という
遠回りな言い方とは違って
中国語吹き替えのセリフは
直接的で分かりやすいですね。


この部分の字幕は
また違った表現になっています。

忠言逆耳
zhōng yán nì ěr 

「忠言逆耳」は成語になります。
「忠言耳に逆らう」というのが
この成語からくる日本語のことわざになります。

「他人からの忠告は素直に聞き入れ難いものである」
という意味があるようです。

この成語の出典は「孔子家語」で
孔子は「忠言逆耳」に続いて
「而利於行」と言っていて
「行いに利あり」という意味が加わります。
このことから
「忠言耳に逆らう」ということわざは
「忠告は聞き入れ難いが、
そういう忠告というのはためになるものだ」
という教訓が含まれているようです。

字幕の方は日本語のセリフに寄せていますね。
クシャナのかっこいい感じも出ています。

ちなみに
「諌言耳に逆らう」という言葉もあるようで
意味は「忠言耳に逆らう」と同じようです。


毎回謎に思いますが
吹き替えの翻訳と字幕の翻訳は
どうしてこんなに違いがあるのでしょうね。
字幕の方は字数を減らすことを意識して
訳しているのでしょうか。

ふたつのパターンの訳を学べるし
比べる楽しさもあるのでありがたいですけどね。




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