ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

これは誤訳かも?って思う部分

ちょっと違う風に訳されたり、
ってのはよくある事だと思います。
表現の違いだったり、
ちょっとしたニュアンスだったり、
あえてそうしている場合とか。

だから、もしかしたら
「あえて」なのかもしれませんが
ちょっと気になってる部分があるので
それについて書きたいと思います。


風呂掃除の場面。
大湯があまりにも汚いのでリンに言われます。

一定要先用药浴洗
yī dìng yào xiān yòng yào yù xǐ
一回薬湯入れなきゃダメだ

小千,去柜台拿牌子来
xiǎo qiān   qù guì tái ná pái zi lái
千、番台行って札もらってきな

「柜台」はカウンターのことで、
ここでは番台を指します。
「牌子」は札のこと。
リンに言われて千尋は番台へ行きます。

ここで番台蛙に
「手でこすれ」と言われて相手にされず。
その間に、
神様が通り過ぎると番台蛙があいさつしたり
従業員の女が札をとりにきたりしています。

気になる部分はその従業員とのやりとりです。
まずは日本語のセリフから。

湯女: 春日様
番台蛙:はい、硫黄の上

これは、
この湯女が春日様という神様の担当で
春日様の薬湯の札をもらいに来た、
という場面です。
「硫黄の上」と言いながら
番台蛙はふだを渡しています。
この「上」は「上中下」の上で
「松竹梅」とか、そういうランク分けの
「上」のことだと推測されます。

で、この部分の吹き替え版の中国語は
こうなっています。

湯女:春先生在哪儿? 
   chūn xiān sheng zài nǎr  

番台蛙:那边,在硫磺上面
   nà biān zài liú huáng shàng miàn

この部分、直訳するとこうなります。

湯女:春さんはどこにいますか?
番台蛙:あそこだ、硫黄の上にいる

これは、何か違うぞ??と思うわけです。
解釈を間違えちゃったのかなーと、
そんな気がしてなりません。

「春先生」もちょっと気になりますが、
それはまぁ許容範囲として、、。
「上」を「上面」と訳しています。
「上面」は「〜の上側」という意味で、
場所を表します。
順番の上の方や上層部の様な意味もありますが
それも当てはまらない様に思います。

あえて、
こういう風に変えたって事はあるかな・・
あまりそうする必要性も感じないので、
単純に誤訳なのかな?と私は感じました。

ちなみに、この部分の字幕はこうなっています。

湯女:春日大人
   chūn rì dà rén

番台蛙:来,上等硫黄浴
   lái   shàng děng liú huáng yù 

こちらは
日本語のセリフの通りに訳されていますね。
「上」を「上等」と訳していて、
場所の意味の「上」ではなく、
ランクの意味の「上」を表しています。
「春日大人」の「大人」の部分は年長者に対する敬称を表します。

字幕と吹き替え、
完全に担当者が違うんだと思いますが、
お互いにすり合わせたり、
確認したりしないんですかね。
しないんでしょうね。
不思議です。


ところで、中国語とは全く関係ない話ですが、
この番台蛙、日本語版では大泉洋さんが
声をやってるんですね。
つい最近知りました。

もっと驚いたのは「おしら様」の声。
エレベーターで遭遇した
大根みたいな神様がおしら様ですが、
声を担当していたのが安田顕さん(よくドラマで見かけます)でした。
あの神様、セリフ・・・ありましたっけ?
「う〜」とか、ちょっと呻いていただけだと思うのですが(笑)