ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

副詞「宁可」の使い方

中国語で「宁可」という言葉があります。
「むしろ」「いっそのこと」という意味の副詞です。

ふたつの事項を比較して
一方を選択するような時に使う言葉で
「むしろ〜したほうがいい」
「いっそのこと〜したほうがいい」
という意味を含むようです。

あまり馴染みのない言葉だったのですが
風の谷のナウシカ」のセリフで
使われていたので
今回取り上げてみました。


まずは城おじのギックリのセリフです。
トルメキアと風の谷の人々が争った後
城おじたちが人質に取られて
その時のクシャナとの会話です。

「多すぎる火は何も生みはせん。
火は森を一日で灰にする。
水と風は百年かけて森を育てるんじゃ」
というゴルのセリフのあとに
ギックリが言うセリフです。

我们宁可选择水跟风
wǒ men nìng kě xuǎn zé shuǐ gēn fēng 
わしらは水と風がええ

「选择」は「選ぶ」「選択する」
という意味の動詞です。
直訳すると
「むしろ水と風を選ぶ方がいい」となります。
直前のゴルのセリフから
「火」と「水と風」を比較していることが
わかります。
「火よりも水と風の方がいい」
ということですね。

この部分の字幕はこうなっています。

我们还是喜欢水跟风
wǒ men hái shì xǐ huan shuǐ gēn fēng 

「宁可」を使わずに表現しています。
「还是喜欢」で「やはり〜が好き」となります。
「やはり水と風が好きです」となり
ニュアンスは似た感じになりますね。


もうひとつは
風の谷に王蟲の群れが押し寄せてきて
谷の人々が高台へ逃げる場面です。
谷の女性がミトに対して言ったセリフです。

米特,后正都是死
mǐ tè   hòu zhèng dōu shì sǐ 
ミト、どうせ死ぬんじゃ

我宁可死在风之谷
wǒ nìng kě sǐ zài fēng zhī gǔ 
谷で死ぬよ

「宁可」があるので
「いっそのこと風の谷で死ぬ方がいい」
というようなニュアンスになります。

風の谷から高い所へ逃げる途中での
やり取りなので
「このまま逃げて別の場所で死ぬよりも
谷で死ぬ方がいい」
という意味合いのセリフになります。


「宁可」は単独でも使いますが
「宁可〜也不…」
「宁可〜也要…」
「与其〜宁可…」
というような使い方もします。

「宁可〜也不…」は
「たとえ〜でも…しない」
「…するくらいなら〜した方がマシだ」
という意味になります。

宁可走着去,也不想坐电车
nìng kě zǒu zhe qù   yě bù xiǎng zuò diàn chē 
たとえ歩いてでも、電車には乗りたくない
(電車に乗るくらいなら歩いた方がマシだ)

「宁可〜也要…」は
「むしろ〜してまでも…する(必要がある)」
という意味になります。

我宁可不睡觉,也要干完这个工作
wǒ nìng kě bú shuì jiào   yě yào gàn wán zhè ge gōng zuò
私は寝ないでも、この仕事をやり遂げる

「与其〜宁可…」は
「〜するくらいなら…する方がいい」
という意味になります。

与其在这儿等车,宁可走着去
yǔ qí zài zhèr děng chē   nìng kě zǒu zhe qù 

ここで車を待つくらいなら、むしろ歩いて行く方がいい

「宁可」を前節に置く場合は
後節は「也」を用いて呼応することが多く
「宁可」を後節に置く場合は
前節に「与其」を用いて呼応することが多いです。

いずれの復文も、
比較した結果「宁可」に続く案件の方が
いい(マシ)という構造になっています。

ナウシカ」のセリフでは
単独で「宁可」が使われていましたが
いろいろな使い方を覚えると
表現の幅が広がりますね。

 


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