「这」と「那」の発音
「这」と「那」は発音がふたつあります。
「这」は「zhè」と「zhèi」
「那」は「nà」と「nèi」です。
でも一般的には
「zhè」「nà」の方が主流なのか
ほとんどが(というか全てが)
こちらで表記されているように思います。
もともとは「zhè」「nà」で、
「这一个 zhè yī ge 」「那一个 nà yī ge 」の
「这一」「那一」の部分が省略されて
「zhèi」「nèi」と発音されるようになったとか。
辞書には「zhèi」「nèi」については
「口語」のマークがついています。
特に意味合い的に違いもないようで
どちらで発音してもいいのかもしれませんが
「zhèi」「nèi」を使うときは
後ろに量詞がつくときに限定される、
という説も聞いたことがあります。
実際には使い分けとか、地域性とか、
傾向的なものはないんでしょうか。
「千と千尋」を吹き替えで聴いていると
意外に「zhèi」「nèi」と発音していることが
多いということに気が付きました。
特に気になったのは出だしのシーンです。
千尋のお父さんとお母さんがやたらに
「zhèi」と「nèi」を使っているんです。
ひょっとしたらこの2人は
「zhèi」と「nèi」を使う地方出身(方言)
という設定?と思ってしまうほど。
ただ、聞いていくうちに、
「zhè」「nà」も使っていたので、
そういうわけではないのか、
と考え直しました。
例えば千尋はこっちの発音、
ハク はこっちの発音というように
人ごとに一本化されてるわけではなく
同じ人でも「zhè」を使ったり
「zhèi」を使ったり、というような感じで
多少はその人のクセや好みが
あるのかもしれませんが、
どちらかというと言葉によってある程度
決まった傾向にあるように感じました。
「zhè」「nà」を使っていたのは
このような言葉です。
这是 zhè shì これは
那是 nà shì あれは
这里 zhè lǐ ここ
那里 nà lǐ あそこ
这么 zhè me こんな
那么 nà me あんな
这样 zhè yàng このように
逆に、後ろに量詞が来るものは
ほとんどが「zhèi」「nèi」の発音でした。
这个 zhèi ge これ
那个 nèi ge あれ
这一条 zhèi yī tiáo この一本
这部车 zhèi bù chē この車
这栋建筑物 zhèi dòng jiàn zhù wù この建物
这阵风 zhèi zhèn fēng この風
那条路 nèi tiáo lù あの道
那间房子 nèi jiān fáng zǐ あの部屋
那种事 nèi zhǒng shì あのこと
那位 nèi wèi あの人
これ以外に、量詞が後に来なくても
「zhèi」「nèi」と発音するセリフもありました。
那是小学 nèi shì xiǎo xué
这可奇怪了zhèi kě qí guài le
どちらも千尋のお父さんのセリフです。
この場合の「这」「那」は
主語として使われていて
量詞は使われていません。
また「这边」「那边」も
ほとんどが「zhèi bian 」「 nèi bian」
と発音されていました。
「边」は量詞ではなく場所詞です。
釜爺がえんがちょする場面でも
「逃走了!那边,那边,那边」と
「那边」を連呼していましたが
これは全部「nèi bian」で発音しています。
同じ場所詞が続くものでも
「这里」「那里」では
「zhèi」「nèi」ではなく
「zhè」「nà」で発音されています。
また、「这样」はほとんどの場合が
「zhè yàng」と発音されていましたが、
釜爺だけは「zhèi yàng」と発音していました。
「zhèi」と「nèi」は
量詞が後に続く言葉に
多く使われる傾向にあるようですが
必ずしもそれが絶対条件ではなさそうですね。
言葉は生きているので、時代とともに変化しているのかもしれません。
余談ですが・・
「nà」と「nèi」は聞き分けることができますが
「zhè」と「zhèi」は早口だと
正直どっちで発音しているのか
聞き取れないものもいくつかありました(汗)
まだまだ修行が足りないですね。