ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

トゲを抜く場面のセリフ

千と千尋」でオクサレ様に刺さったトゲを
みんなで力を合わせて抜く場面。

気になる言葉や言い回しがちょこちょこあり
なかなか興味深い一節となっています。

まずはトゲにロープを巻き付けた後
みんなでそれを引っ張るシーンです。

湯婆婆:汤屋的人团结一条心
    tāng wū de rén tuán jié yī tiáo xīn
    ん〜 湯屋一同心をそろえて
 
    大家一起用力拉!加油
    dà jiā yī qǐ yòng lì lā   jiā yóu  
    引けや〜 そ〜れっ! そ〜れ!

千尋: 脚踏车?
    jiǎo tà chē  
    自転車?

湯婆婆:好极了!
    hǎo jí le
    やはり!   
     再用力拉!
    zài yòng lì lā  
    さあ引くんだよ
     加油加油
    jiā yóu   jiā yóu
    
そ〜れっ! そ〜れ!

1行目の湯婆婆のセリフ。
「一条心」という言葉がありますが、
これは「心が一つだ」という意味になります。

この「条」は量詞になりますが
「条」というと、細長いものを数えるときに
使うイメージがあります。
例えば「一条河(一本の川)」
「一条裤子(一着のズボン)」など。

実は「条」は細長いものを数える以外にも
使われることがあります。
人、命に関わるものを数えるとき、
「一条命(一つの命)」
「一条男子汉(1人の男の中の男)」
などの様に使われます。
「一条心」の「条」も
この使われ方だと思われます。

「条」は他にも、
項目に分かれるものを数える時にも使われます。
例えば「一条意见(ひとつの意見)」
「一条新闻(ひとつのニュース)」などです。
これはちょっと分かりにくい様に思いますが、
こういうのはひたすら覚えるしかないですね・・


日本語の「そ〜れ」にあたる部分は
中国語では「加油」と表現されています。
加油」は「がんばれ!」の意味ですね。
スポーツ観戦などでもよく使われます。
「給油する」という意味でも使われる言葉です。


そのあとの千尋のセリフ
「脚踏车」は自転車ですが
ここで私は「あれ?」と思いました。
自転車といえば「自行车 zì xíng chē 」です。
「脚踏车」は馴染みがありませんでした。

どうやら西南地方や台湾で使われてる方言で
一般的には「自行车」の方が使われてる様です。
どうして 千と千尋の中では
「脚踏车」の方に訳されているんでしょうね。
字幕の方でも「脚踏车」となっていました。


その後湯婆婆が「好极了」と言ってますが
「极」は形容詞の補語としての役割があり
程度が最高であることを表しています。
「好极了」で「特に良い」「すばらしい」
などの意味合いになります。

この部分は日本語では
「やはり」というセリフなので
少しニュアンスが違いますね。
字幕の方ではこの部分、
果然 guǒ rán」となっていて
「思った通り」「やはり」「案の定」
などの意味があるので
こちらの方が日本語のニュアンスに
寄り添っています。


このあと、無事にトゲが抜けて、
河の神様は帰っていきます。
そのあと、湯婆婆は大はしゃぎで
千尋に向かってこのセリフを言います。

小千,做得好
xiǎo qiān   zuò de hǎo
千、よくやったね

赚了一大票
zhuàn le yī dà piào
大儲けだよ

「赚」は「もうける」という動詞です。
「票」は「切符」や「入場券」などの意味もありますが「紙幣」の意味もあります。
「赚一票」で「ひともうけする」
という意味があり
「大」がついて「大もうけする」になるわけですね。

ちなみにこの部分の字幕は
赚了一大
zhuàn le yī dà bǐ 
となっています。

「笔」は「筆」「ペン」などの意味の他
一定額の金銭を数える量詞の役割もあります。
「一大笔」はおそらく「钱」が省略されていて
「巨額」「大金」などの意味となります。


「おおもうけ」とかは
なかなか使う機会がなさそうですが
その言葉を使う状況に是非なってみたいです。
加油」や「好极了」は日常で使えそうな言葉ですね。

単語帳の羅列だとなかなか覚えられない単語も
映画のワンシーンと合わせて覚える事で
記憶に残りやすい様に思います。