ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「急いで」の意味の「赶快」

「快」は「はやい」という意味の形容詞で
様々な場面でよく使われます。
千と千尋の中でも何度も出てきました。

そんな中で、特によく使われていたのが
「赶快 gǎn kuài」という言葉です。
あまりにもたびたびセリフに使われていたので
一般的によく使われる言葉かもしれませんが
私にとってはそれまで馴染みのない言葉でした。

「赶」は動詞で「急ぐ」「追いかける」
「出会う」などの意味があります。
「赶快」で「急いで」という意味の
副詞になります。
「できるだけ早く」「大急ぎで」「さっさと」などのニュアンスがあるようです。

たくさん出てきたので全部は紹介できませんが
その中でいくつかのセリフを取り上げたいと思います。


まずはハクのセリフです。
千尋のお父さんとお母さんが
お店でガツガツ食べている間
ちひろが街を散策していて
橋のところでハクに出会う場面です。
「ここへ来てはいけない」と言われたあとです。

我帮你拖一下时间

wǒ bāng nǐ tuō yī xià shí jiān
私が時間をかせぐ

你赶快往河川那头走
nǐ gǎn kuài wǎng hé chuān nà tóu zǒu
川の向こうへ走れ!

「赶快」+「走」で
「急いで行く」という意味合いになります。
「走」の前に「川の向こうへ」の意味を表す「往河川那头」が入っています。
緊迫した場面なので、
「とにかく急いで」という意味が込められているのかもしれません。


次は湯婆婆のセリフです。
千尋が湯婆婆と契約を結ぶ場面です。

千尋名字就写在这里吗?
   míng zi jiù xiě zài zhè li ma
   あの、名前ってここですか

湯婆婆:对,不要慢吞吞的
   duì   bú yào màn tūn tūn de
   そうだよ、ぐずぐずしないで

  赶快写
   gǎn kuài xiě
   さっさと書きな

「赶快写」で「さっさと書く」「急いで書く」という意味になります。
「慢吞吞」との組み合わせがいい感じですね。
「ぐずぐずするな、さっさとやれ」は
パワハラ注意用語ですね(笑)


次のセリフは
千尋カオナシに向けて言ったセリフです。
カオナシが大暴れして千尋を呼び出したあと
「千が欲しいものなんでもあげるよ」みたいなことを言ったあとです。

你从哪里来的
nǐ cóng nǎ li lái de
あなたはどこから来たの?

你最好赶快回你的地方
nǐ zuì hǎo gǎn kuài huí nǐ de dì fang
あなたは来たところへ帰ったほうがいいよ。

「赶快回」で「急いで帰る」の意味になります。
日本語のセリフの方には「早く」や
「急ぐ」の意味を表す言葉はありませんが
中国語ではあえて入れていますね。


この「赶快」という言葉
「还不赶快 há bù gǎn kuài 」という表現でもたびたび出てきます。

例えば釜爺のセリフです。
「働かせてください」
「ここは人手が足りとる」
というやりとりの後で
すす達が石炭を運んでる時のやり取りです。

千尋这个要怎么办?
   zhè ge yào zěn me bàn
   どうするの?これ

  就放在这里吗?
   jiù fàng zài zhè li ma 
   ここに置いといていいの?

釜爺:你都拿起来了还不赶快工作
   nǐ dōu ná qǐ lai le hái bù gǎn kuài gōng zuò
   手ぇ出すならしまいまでやれ!

「还不」で「まだ〜しない」
という意味合いになるので
「还不赶快」で「まだ急がない」という
逆の意味合いになりそうですが
日本語のセリフからすると「さっさとやれ」
というニュアンスになっています。

どうやら「还不赶快」で
「どうして急いでやらないのか」
「まだやらないでいるのか」のような
批判的なニュアンスを含むようです。
「あなたは手に取った、なんで急いで仕事しないのか」みたいな感じなんだと思います。

湯婆婆のセリフでもこの表現は出てきます。
千尋が何度も「働かせて下さい」
とお願いしてるうちに坊が泣き出して
湯婆婆が必死にあやしながら言うセリフです。

你还在这里干什么
nǐ hái zài zhè li gàn shén me
まだいたのかい

还不赶快滚下去
hái bù gǎn kuài gǔn xià qu
さっさと出ていきな

「还不赶快」が日本語のセリフの
「さっさと」に相当します。
「なんで急いで出て行かないの?」
というニュアンスになります。

なんだかややこしいですね。
「赶快」でも「还不赶快」でも
結局はどちらの場合も
「急いでやれ」ってことなんですね。


千と千尋」の物語の中で
「赶快」が多く使われていたということは
「急ぐ」というシチュエーションが
それだけ多いってことになりますね。
なんか分かる気がします。