ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

前置詞につく「着」

前回、持続を表す「着」について書きました。
動詞の後ろに「着」がついて
「〜している」という表現になります。
 ↓ ↓ ↓
「〜している」という持続の表現

千と千尋」の中では
動詞じゃなくて前置詞に「着」がついている
表現がいくつか出てきました。
「〜へ向かって」「〜に沿って」
「〜に従って」などの意味で
経路を導く前置詞のあとに
「着」がつくことがあります。

「着」がついてもつかなくても
特に意味に違いはない様です。

じゃあ何でつけるんでしょうね。
口語では「着」をつけることが多い様です。
また、複雑な語句を導く場合や、抽象的な
言葉を導く場合は「着」をつける様です。
そうでない場合はついたりつかなかったりで
そこに大きな違いはないみたいです。


千と千尋」のセリフを
見ていきたいと思います。

まずはハクのセリフです。
千尋が釜爺に仕事をもらうために、
釜爺のところへ行く道順を教えている場面です。

顺着楼梯走到底之后
shùn zhe lóu tī zǒu dào dǐ zhī hòu
外の階段を一番下まで下りるんだ

右手边是锅炉室的入口
yòu shǒu biān shì guō lú shì de rù kǒu
そこにボイラー室の入り口がある

「顺」は「〜に沿って」という前置詞で
「着」がついて「顺着」となっています。
「着」の有無で意味は変わらず
「顺」も「顺着」も「〜に沿って」という意味で使います。


「顺着」に続くのは「楼梯」という言葉です。
「楼梯」は「階段」という意味なので
「顺着楼梯」で「階段に沿って」となります。
「階段に沿って下まで行った後、右側にボイラー室の入り口がある」となります。

日本語のセリフでは
「右」という説明はないのですが
確かに映像では階段降りた後に
右側に入り口がありますね。
「右手边」という言葉を使って、
より親切に説明しています。


次は雨の中湯屋に向かって
オクサレ様がやってくる場面です。

湯婆婆:是腐烂神
    shì fǔ làn shén
    クサレ神だって?

父役:他一直朝着这边走过来了
   tā yī zhí cháo zhe zhè biān zǒu guò lái le
   まっすぐ橋へ向かって来ます

「朝」は「〜に向かって」という前置詞です。
ここでは「着」がついて「朝着」となってます。
「朝着这边」で「こっちへ向かって」となります。


次は千尋が銭婆に会いに行くことを決め
釜爺が電車の切符を渡すときに
帰りの電車が無いけどそれでも行くか?
と聞いた後です。

嗯!

うん

我会沿着铁轨走回来的
wǒ huì yán zhe tiě guǐ zǒu huí lái de
帰りは線路を歩いて来るからいい

「沿」は「〜に沿って」という前置詞です。
「着」がついて「沿着」となっています。
「铁轨」は「レール」なので
「沿着铁轨」で「レールに沿って」となります。
スタンドバイミーみたいですね。
実際には竜に乗って帰ってくるので
線路は歩いていませんが。


最後はハクのセリフです。
ケガをして目が覚めたあと
「暗闇の中でちひろが何度も私を呼んだ」
と話し、それに続くセリフです。

我顺着那个声音找了半天
wǒ shùn zhe nà ge shēng yīn zhǎo le bàn tiān
その声を頼りにもがいて

醒来就发现自己躺在这了
xǐng lái jiù fā xiàn zì jǐ tǎng zài zhè le
気がついたらここに寝ていました

先ほど出てきたのと同じ「顺着」です。
それに続く言葉は「那个声音」で
「その声」となります。
千尋の声」のことですね。

「那个声音」はもしかしたら
「着」がつく条件の「抽象的なもの」にあたるのかもしれません。


他にもこのような前置詞に使われます。
 向着 xiàng zhe   〜に向かって
 当着 dāng zhe  〜の前に
 照着 zhào zhe  〜めがけて

「着」の有無は、語呂とか
微妙なニュアンスとかあるかもしれませんが
特に意味が変わるわけではないようなので
訳すときはあまり気にしなくてよさそうです。

気をつけないといけないのは
前置詞にも動詞にもなりうる単語に
「着」がついているときに
持続を表す「着」なのか、
前置詞についてる「着」なのか、
それを間違えない様にしないといけませんね。