ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「只有」の用法

前回「只要」の用法について紹介したので
今回は「只有」について書こうと思います。

「只要」についてはこちらです ↓ ↓
「只要」の用法

私個人の話ですが
「只要」や「只有」などの接続詞が苦手で
なかなか覚えられなかったりします。
中国語を日本語に訳せたとしても
逆に会話の中で使いこなすのは
なかなかハードルが高いです。

「只有」は絶対条件を表す文に使われます。
「只有」の後に動詞フレーズがきた場合は
〜してはじめて〜だ
という意味になります。

「只有」の後に名詞がきた場合は
ただ〜だけが」という意味になります。

どちらの場合も、
後に続く結果を示す文には「才」が入ります。

前節で結果を示す文、後節で「只有」の文
という構成をとることもあり
〜しかない」「〜よりほかない
という意味で使われ、
その場合は「才」は使われません。


千と千尋」の中で
「只有」は少ししかでてきませんでした。
どのように使われていたか紹介したいと思います。

まずは湯婆婆のセリフです。
千尋が「働かせてください」と湯婆婆にお願いする場面です。

这里不是你们人类该来的地方
zhè li bú shì nǐ men rén lèi gāi lái de dì fang
ここはね、人間の来るところじゃないんだ

这里可是只有各方神明才能来放松泡汤的地方
zhè li kě shì zhǐ yǒu gè fāng shén míng cái néng lái fàng sōng pào tāng de dì fang
八百万の神様たちが疲れを癒しにくるお湯屋なんだよ

「只有」の後に
「各方神明」という名詞がきています。
「各方神明」は「各方面の神様」
という意味になります。
日本語では「八百万の神様たち」となっていますね。

前半で「ただ八百万の神様たちだけが
という絶対条件を示し
後半はそれを受けて「才」が入り
結果の文となっています。

放松」は「くつろぐ」という動詞です。
「泡汤」は「ダメになる」「おじゃんになる」
という意味があるのですが
ここではその使い方だと意味が合わなそう。。
「泡」は「あぶく」の意味のほか
動詞で「時間をつぶす」という意味もあるので
放松泡汤」は「湯でゆっくりくつろぐ」
という意味を表すんじゃないかと。
(ちょっと自信ない・・違ったらすみません)

文全体を直訳すると
「ここは、ただ八百万の神様たちだけが湯でゆっくりくつろぎに来ることができる場所だ」
となります。長い文ですね(汗)


次はハクのセリフです。
橋での息止めが失敗したあと、
自分が先に行って時間を稼ぐ間に
ここから離れるよう千尋に伝えたところ
「行かないで、そばにいて」
とダダをこねられる場面です。

想要在这里生存下去
xiǎng yào zài zhè li shēng cún xià qu
この世界で生き延びるためには

你只有这一条路
nǐ zhǐ yǒu zhè yī tiáo lù
そうするしかないんだ

後節で「只有」を使うパターンです。
「あなたはこの方法しかない」となります。
前節には「才」は入りません。

もしこれが前後逆の文章だとしたら
「あなたがこの方法をしてはじめて
この世界で生き延びることができる」
というような言い回しになるんだと思います。
ニュアンスは違いますが、
意味としては同じですよね。


最後に湯婆婆のセリフです。
銭婆のところから戻って、
どの豚が千尋の父母か当てる場面です。

机会只有一次
jī huì zhǐ yǒu yī cì
チャンスは一回だ

猜对了就放你们一家人自由
cāi duì le jiù fàng nǐ men yī jiā rén zì yóu
ピタリと当てられたらお前たちは自由だよ

ここで使われている「只有」は
実は接続詞の「只有」ではありません。
「只」は副詞で
「ただ〜だけ」という意味で使われ
動詞の「有」がそれに続き
「只有」となっています。
「機会は一回だけある」という意味になります。

副詞の「只」+動詞の「有」
として使われているときは
接続詞としての「只有」と間違えないように
しないといけませんね。


千と千尋」の中で
「只有」が使われていたのはこれだけで
一番典型的な「〜してはじめて〜だ」の
使われ方をしたセリフはありませんでした。

「只要」と「只有」は
どちらも条件を表しますが
「只有」は「唯一の条件」「絶対条件」
のニュアンスとなっています。

只要他来,就能解诀问题。
彼が来さえすれば問題は解決できる
(別の解決方法もあるかもしれない)

只有他来,才能解诀问题。
彼が来て初めて問題は解決できる
(彼が来ないと解決できない)

こんな感じの違いです。
なかなか難しいです(汗)