ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「長い間」という意味の「半天」

中国語で「半天」という言葉があります。
名詞で、「半日」という意味と
もうひとつ「長い間」という意味で使う場合があります。

「長い間」という意味で使う場合は
「〜了半天」という使い方をすると
長いこと〜をした」という意味になります。

千と千尋」の中では
「半天」は2回でてきました。
どちらも「長い間」という意味で使われています。


まずはリンのセリフから。
釜爺に、千尋を湯婆婆のところへ
連れて行くようにお願いされ
イモリのクロヤキにつられて引き受けてしまう場面です。

リン:走!小女生,跟我来吧
   zǒu   xiǎo nǚ shēng   gēn wǒ lái ba
   チェッ!その子、ついて来な

  喂!我跟你说了半天
   wèi  wǒ gēn nǐ shuō le bàn tiān
   あんたね「はい」とか

  你都不会说声谢谢呀
   nǐ dōu bú huì shuō shēng xiè xie ya
   「お世話になります」とか言えないの?

千尋谢谢
   xiè xie
   あ、はい

「说」は「言う」「話す」「説明する」
などの意味の動詞です。
「说了半天」で
「長いこと話をした」となります。

中国語のリンのセリフを直訳すると
「私はあなたに長いこと話をしたのに、
あなたはありがとうも言えないのか」
というような意味になります。

日本語のセリフには「長いこと話をした」とか「ありがとう」とかいう意味合いはなく、
逆に日本語の「はいとかお世話になります」
の部分は中国語ではカットされています。

ぶっちゃけ言えば、リンって千尋に対して
何か説明とか話したかな?って感じで
釜爺とリンは交渉してましたが、
このセリフはちょっと違和感があります。

日本語のセリフでは、これからお世話に
なることに対しての何か言葉はないのか?
ってことの方を言ってるんだと思いますが
中国って「お世話になります」っていう言葉は社交辞令であまり使わないっていうのを
聞いたことがあります。
日本人は挨拶がわりに交わす言葉ですが
中国では本当にお世話になる時や、世話してもらうのを期待する時しか使わないとか。
そういう文化的な違いもあって、
あえて「谢谢」に変えたのかもしれませんね。

リンに続く千尋のセリフは
日本語では「はい」ですが
中国語では「谢谢」になっています。


もうひとつはハクのセリフです。
竜の姿で怪我をして釜爺のところで
一命を取りとめて意識が戻った場面です。
釜爺に「何も覚えていないのか?」と問われ
ハクが答えました。

黑暗里听到千寻不停叫着我

hēi àn lǐ tīng dào qiān xún bù tíng jiào zhe wǒ
闇の中でちひろが何度も私を呼びました

我顺着那个声音找了半天
wǒ shùn zhe nà ge shēng yīn zhǎo le bàn tiān
その声を頼りにもがいて

醒来就发现自己躺在这儿了
xǐng lái jiù fā xiàn zì jǐ tǎng zài zhèr le
気がついたらここに寝ていました

「找了半天」で「長いこと探した」となります。
「顺着」は「〜に沿って」「〜に従って」
という意味の前置詞です。
「あの声に従って長いこと探し求めた」となります。

日本語は「もがいて」です。
「找」にそういう意味もあるのかな?
と調べましたが、
そういう意味合いはなさそうなので、
「もがく」を「長いこと探し求める」
という形に表現を変えたんですね。
なんとなく好きです、この感じ。


「長い間」という意味の中国語は
「很长时间」「好久」「久久」など
他にもいろいろな表現の仕方がありますが
この「〜了半天」という使い方もマスターしたいです。