ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

成語だと思ったら成語じゃなかった言葉

中国語でそれらしい漢字が4つ並んでいると
「これは成語なんじゃないか」
と疑ってかかりたくなります。

まずは辞書で調べてみますが
中国語の成語ってものすごい数があるので
けっこう辞書に載ってないこともあります。
うちには成語の専門書や成語辞典がないので
ちょっとネットでググってみたりもしています。


次のセリフは銭婆のセリフです。
湯婆婆の部屋で怪我した竜のハクを前に
千尋と交わされた会話です。

小孩子,让开吧
xiǎo hái zi   ràng kāi ba
さあ、そこをどきな

那只龙已经无药可救了

nà zhī lóng yǐ jing wú yào kě jiù le
どのみちこの竜はもう助からないよ

我已经对印章下了守护咒语

wǒ yǐ jing duì yìn zhāng xià le shǒu hù zhòu yǔ
ハンコには守りのまじないがかけてあるからね

偷印章的人一定会死

tōu yìn zhāng de rén yī dìng huì sǐ
盗んだ者が死ぬようにと

2行目の部分の「无药可救」という言葉
これがぱっと見た感じ、
成語っぽい雰囲気をかもし出していたので
成語だと思って調べたりしたのですが
結果としては成語ではありませんでした。

「无」とか「可」とか入ってると
成語っぽい感じしますよね。
特に「无」で始まる成語は多いので。

でもいろいろ調べて
おもしろいことがわかってきました。
とても似たような言葉の成語があったんです。

 无可救药 wú kě jiù yào 

よく見てみると、
四文字の漢字の順番が違うだけなんです。
「ABCD」が「ACDB」と入れ替わっただけです。

「无可救药」は成語で
「どうすることもできない」
「助けることができない」
という意味で使われます。

この「无可救药」は語源では
「不可救药」だったそうです。
「不可救药」の方も今でも同じ意味で
使われることはあるようです。

成語に認定されてない「无药可救」の方ですが
この言葉がどこから出てきたのかというと
一説によると成語の「无可救药」が
間違った使われ方をして
(言い間違いなのか、言いやすいからあえて
言い変えたのかは分かりませんが)
「无药可救」が広まって、
一般的に使われるようになったとか。

今では普通に使われていますが
成語としては扱われていないようです。
微妙なニュアンスは分かりませんが
意味はほとんど同じと思っていいようです。

銭婆のセリフとして出てきた「无药可救」は
「无药」の部分は「薬が無い」で
「可救」の部分は「救うことができる」なので
「救える薬は無い」という意味から
「どうすることもできない」となります。

「その竜はもう助からない」というセリフは
まさに中国語の翻訳とマッチしていますね。

詳しいちゃんとした経緯はわかりませんが
「言葉は生きてる」というのは
どこの国でも同じなんですね。
ちょっとずつ変化したり、淘汰されていったり
そうやって今を生きる人たちが使いやすいよう
言葉は変化していくのですね。