ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

意外な時に使う「居然」

中国語で「居然」という言葉があります。
普段起こらないようなことが起きたり
予想外な結果を伴った時に使う言葉で
「意外にも」「あろうことか」「なんと」
というような意味合いがあります。

千と千尋」の中でも何回か出てきました。
まずは千尋のセリフです。
トンネルを抜けた後の第一声です。

千尋这里居然也有房子
   zhè li jū rán yě yǒu fáng zi
   こんなとこに家がある

シンプルで分かりやすい例文です。
こんなとこに家があるとは思っていなかった
っていうニュアンスですね。


次は湯婆婆のセリフです。
千尋が「働かせて下さい」と来た時の場面で
ここは神様が来る場所なのに
お前の親はお客様の食べ物を食べて・・
と、くどくど言うセリフの中の一部です。

想不到你妈妈爸爸居然能做出那种事
xiǎng bu dào nǐ mā ma bà ba jū rán néng zuò chū nà zhǒng shì 
それなのにお前の親は何だい!

「想不到」は
「思いもよらない」という動詞です。
「做出」は「作る」とか「結果を出す」
という意味もありますが
ここでは「仕出かす」という悪い意味で
使っています。

直訳すると「あなたの父母があろうことかあんなことを仕出かすなんて思いもよらなかった」

「想不到」は「意外だ」という意味も含み
「居然」も「意外にも」って意味があるので
とにかく「想定外のことをしでかした」って
ことをしつこく伝えたかったんでしょうね。

日本語のセリフはシンプルなのに
中国語の方はけっこうくどいですね。


次はリンのセリフです。
リンが釜爺のところに千尋を探しに来て
大暴れしているカオナシの話をする場面です。

我们以为是很大方的好客人
wǒ men yǐ wéi shì hěn dà fāng de hǎo kè rén
気前がいいと思ってた客が

居然是妖怪无脸男
jū rán shì yāo guài wú liǎn nán
カオナシだって化け物だったんだよ

「あろうことか化け物だった」という
これも分かりやすいセリフです。


ここまでの3つのセリフ、
どれも「居然」を使って表現していますが
字幕の方ではいずれも
「竟然 jìng rán 」という言葉を使っています。

「竟然」も「意外にも」「なんと」
「こともあろうに」というような意味があり
「居然」と同じように使うようです。
「居然」は「竟然」よりも語気が強い印象を
与えるようですが
どのくらいのニュアンスの違いがあるのかは
よく分かりません。。


次は湯婆婆のセリフです。
千尋と契約を結ぶ場面での
湯婆婆のポロっとこぼれたグチです。

又开了一个不好的先例
yòu kāi le yī ge bù hǎo de xiān lì
つまらない誓いを立てちまったもんだよ

居然他想工作
jū rán tā xiǎng gōng zuò
働きたい者には

我就给他工作做
wǒ jiù gěi tā gōng zuò zuò
仕事をやるだなんて

日本語のセリフの「だなんて」の部分を
「居然」で表現しているんですね。
これも「あろうことか」や
「なんとまあ」のような
マイナスの意味を込めた使い方です。


最後はハクのセリフです。
おにぎりデートの場面ですね。
「湯婆婆が名前を奪って支配する」
ということについて話をして
「自分の名前も思い出せないんだ」
と語った後です。

可是不可思议
kě shì bù kě sī yì
でも不思議だね

我居然还记得你的名字
wǒ jū rán hái jì de nǐ de míng zi
ちひろのことは覚えていた

「记得」は「覚えている」という動詞です。
「你的名字」は「あなたの名前」ですね。
あの有名な映画「君の名は。」の中国語名も「你的名字。」です。

日本語では「あなた」と「君」では
与える印象が違うのですが
中国語では「你」一択です。
(您もありますが・・)
英語も「Your Name.」で二人称はみんな「you」なんですよね。
そういう部分では日本語ってやっぱりいいなーと思います。

話がそれましたが・・・
このセリフでは「あろうことか」っていう
マイナスイメージの訳し方よりも
「意外にも」の方がしっくりいきそうですね。

「意外にもあなたの名前はまだ覚えていた」


「居然」は副詞なので
通常は動詞の前に置かれますが
文頭に位置することもあるようです。

用法自体は難しくないですが
日本語に訳すときの表現の仕方がいろいろあり
どの言葉を選ぶか迷いそうです。
例文をいろいろみてみると「〜するなんて」と訳しているものが多いように思うので
辞書に載ってる日本語に当てはめようとせず
ニュアンスで感じ取って日本語に訳せるようになるといいかもしれませんね。