ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「ちょっと〜する」の別の用法

前回の記事で
「帮帮」「试试」「求求」「救救」の
4つの動詞の重ね型を使ったセリフを
紹介しましたが、
実は「千と千尋」の物語の中で
一番多く使われていた動詞の重ね型は
「看看」でした。

「看看」で
「ちょっと見る」「ちょっと見てみる」
というニュアンスになります。
私が使っていた中国語の入門書でも
動詞の重ね型の例文では
「看看」を使っていました。
よく使う言葉なんだと思います。


千と千尋」では6回くらい
セリフに出て来ていましたが
その中の一部のセリフを紹介します。

まずは千尋のお父さんのセリフ。
トンネルの中を歩いてたら電車の音が聞こえて
「案外駅から近いのかも」とお母さんが
言った後のセリフです。

走吧,看看就知道了
zǒu ba   kàn kan jiù zhī dào le
行こう、すぐ分かるさ

日本語のセリフには
「看看」の部分はありませんが
直訳では「ちょっと見たら分かるさ」となります。


次は釜爺のセリフ。
千尋に働きたいと言われ
「人手は足りてる」と断った後です。

看看这里面一堆煤灰
kàn kan zhè lǐ miàn yī duī méi huī
そこら中すすだらけだからな

こちらも直訳すると
「この中のすすの山をちょっと見て」
という感じになります。

「一堆」は量詞で
「ひとかたまりの」「ひと山の」
という意味を表します。

日本語では
「見て」といったようなことは言ってませんが
中国語ではその様なニュアンスに変えています。
「見てみろ、そこら中すすだらけだろ?」
っていう感じでしょうか。


次は銭婆の家の場面です。
ハクが迎えに来た時の銭婆のセリフです。

有客人来喔,去看看吧
yǒu kè rén lái wō   qù kàn kan ba
お客さんだよ、出ておくれ

こちらも「ちょっと見て来て」
というニュアンスですね。
このあと千尋とハクの感動の再会になります。
千尋に見に行かせるところがいいですよね。
銭婆、なかなかいい人です。


この動詞の重ね型ですが
動詞と動詞の間に「一」をいれて
「動詞+一+動詞」という使い方もあり
同じように「ちょっと〜する」という
意味合いになるようです。

こちらの用法でも
ひとつだけセリフがありました。
湯婆婆と番台蛙の電話でのやり取りです。

湯婆婆:有什么东西混进来了
    yǒu shén me dōng xi hùn jìn lái le
    何か入り込んでいるよ

番台蛙:是人类吗?
    shì rén lèi ma
    人間ですか?

湯婆婆:你四处去看一看
    nǐ sì chù qù kàn yi kàn
    それを調べるんだ

「四处」は「あちこち、至る所」という意味です。
直訳すると
「あなたはあちらこちらをちょっと見に行く」
という感じです。
「看一看」は「看看」に置き換えることができます。

また「看一看」を「看了看」とすると
「ちょっと見た」と過去形になります。


動詞の重ね型は
「動詞+一下」という言い方にも変えられます。
意味合いはほとんど同じようですが、
重ね型を「一下」に置き換えられない
場合もあるようで(使役文とか)
使うときは要注意ですね。

こちらの「一下」は「千と千尋」の中では
こんな風に使われてました。

去看一下就好啦
qù kàn yī xià jiù hǎo la
ね、ちょっとだけ

お父さんがトンネルの中に行ってみたくて
渋る千尋とお母さんを説得してる場面です。
「ちょっと行って見る」ですね。

先ほどの
「去看看」「去看一看」とこの「去看一下」は
それぞれ置き換えが可能ということになります。
ほとんど同じ意味とのことですが
微妙なニュアンスの違いはないんでしょうか。

「看」ではないですが
「一下」を使ったセリフは他にもありました。

请等一下
qǐng děng yī xià
お待ち下さい

「等一下」で
「ちょっと待って」という感じですね。
湯婆婆が千尋の父母を
ベーコンかハムにして食べちゃおうって
話してた時のハクのセリフです。


このフレーズはあらゆる場面で使えそう。
意味がわからなくて辞書を引く時、
筆談したくてメモとペンを用意する時、
お店で注文を急かされた時などなど、
「ちょっと待って」と言いたい場面は
現地では山ほどありそうです。
覚えておくと便利な一言ですね。