ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「長靴いっぱい」じゃない?!

風の谷のナウシカ」の中で
ナウシカとアスベルが腐海の地底で
親睦を深めるシーンがあります。
その中で最も印象的なセリフといえば
アスベルの「長靴いっぱい食べたいよ」
じゃないでしょうか。

ナウシカが風の谷をたつときに
女の子たちからもらったチコの実ですね。
あれを一口食べた時のアスベルの顔、
なんとも言えない表情してましたね。
どんな味がするのか興味あります。

その時のやりとり
中国語吹き替えではこうなっています。

アスベル:这个果子的味道好特别
     zhè ge guǒ zi de wèi dào hǎo tè bié
     あーっ不思議な味のする実だね

ナウシカ这叫奇可果
     zhè jiào qí kě guǒ
     チコの実というの

     可是很有营养的哦
     kě shì hěn yǒu yíng yǎng de ò
     とっても栄養があるのよ

アスベル:虽然味道不是很好
     suī rán wèi dào bú shì hěn hǎo
     ふーん、味はともかく

     还是真想有一大桶填饱肚子呢
     hái shì zhēn xiǎng yǒu yī dà tǒng tián bǎo dù zi ne
     長ぐついっぱい食べたいよ

「不思議な味」を中国語では
「特别」で表現していますね。
「特别」は「特別な」という意味の他に
「変わっている」という意味もあります。
この「特别」の部分、
字幕では「奇怪」と表現しています。

「奇可果」は「チコの実」のことですね。
「チコ」の部分が音からの当て字で
「実」の部分が「果」で表されています。

そのあとのアスベルのセリフ
「虽然」は「〜ではるけれども」
という接続詞です。
「味はあまり良くないけれども」となります。

この部分の字幕は違った表現をしています。

味道不重要
wèi dào bù zhòng yào

「味は重要ではない」
なんだかシンプルですね。

そのあとがいよいよあのセリフです。
「填饱」は「いっぱいに詰め込む」
という意味で
「填饱肚子」で「腹を満たす」
という意味になるようです。

「桶」は「桶(おけ)」「バケツ」「樽」
などを表します。
「腹を満たすための大きなバケツがあるといいね」みたいなニュアンスになるかな?
あれ?ってなりますね。
長靴はどこに行っちゃったんでしょうね。

そもそも長靴に食べ物を入れる習慣は
ないでしょうから
ちょっと長靴には抵抗があって
「桶」を使ったのかもしれません。
日本人だってそんな習慣ないですけどね。

字幕の方はまた違いますよ。
こうなっています。

我想吃一双靴子的分
wǒ xiǎng chī yī shuāng xuē zi de fēn

「靴子」は長靴やブーツのことをいいます。
字幕では「長靴」なんですね。
「私は長靴の分食べたい」となり
こちらの方が日本語のセリフに近いですね。

でも前の部分と合わせると
「味は重要ではない。長靴の分食べたい」
なんか意味不明ですね。
この言い回しでアスベルのユーモアっぽい
ニュアンスが伝わってるかは不明です。

そういう意味では、
吹き替えの方は長靴じゃなくて桶ですが
ちょっとユーモアある言い方のようにも
感じます。
「味はあまり良くないけれども、やはり腹を満たすための大きなバケツがあるといいね」

そもそも、なんで長靴なのかは置いといて
たくさん食べたい理由としては
「栄養があるから」ですよね。
だから字幕の「味は重要ではない」は
核心をついてるように思います。

「味より栄養」は
風の谷の人々の健康志向の表れかもしれません。