「家伙」と「大伙儿」
中国語で「家伙」という言葉があります。
「千と千尋の神隠し」で
この言葉が使われていたので
以前「家伙」について書いたことがあります。
ちょっとガラの悪い言い方?
「家伙」は「やつ」とか
そういうニュアンスがあって
「这家伙」で「こいつ」
「那家伙」で「あいつ」
「家伙们」で「やつら」
というようにも使う事ができます。
相手を見下すような言い方っぽいですが
親しみを込めていう時に使うこともあるようです。
「風の谷のナウシカ」の中でも
この言葉はたびたび使われていたので
その一部を紹介したいと思います。
まずはトルメキアに
人質として連れて行かれるメンバーになった
城おじたちのセリフです。
公主也真是的
gōng zhǔ yě zhēn shì de
やれやれ、姫様も
尽挑咱们这些不中用的老家伙
jǐn tiāo zán men zhè xiē bù zhōng yòng de lǎo jiā huǒ
惜し気のない者ばかりよう選んだわい
「家伙」に「老」がついて
「老家伙」という表現になっています。
「老家伙」は「老いぼれ」
という意味になるようです。
「不中用」で「役に立たない」
という意味なので
「役に立たない老ぼれ」となります。
誰かに向かって言ったら罵り言葉になりますが
自分たちのことを言ってるので
自虐的な意味を含むのかもしれません。
次は風の谷の森が胞子に侵された時の
村人のセリフです。
真可恶
zhēn kě wù
くそ
都怪那些家伙带来厄运
dōu guài nà xiē jiā huǒ dài lái è yùn
あいつらさえ来なければ
「あいつら」が「那些家伙」となっています。
「あいつら」とは
トルメキアのやつらのことですね。
「他们(彼ら)」とか言うよりも
ちょっと嫌悪感を含んだ言い方になりそうですね。
同じ「伙」という言葉を使い
「大伙儿」という言葉があります。
「大伙儿」は「みんな」「皆さん」
という意味があります。
こちらは罵るような意味は
含んでいなそうですね。
「ナウシカ」の中ではこのように使われていました。
王蟲に襲われたユパ様をナウシカが助けた後
ナウシカとユパ様が再会を喜び合う場面です。
ユパ様のセリフです。
大伙儿还是老样子吧
dà huǒr hái shì lǎo yàng zi ba
みなに変わりはないかな?
この「みな」とは風の谷の人々のことですね。
「还是老样子」で
「相変わらず」という意味があります。
「老」はここでは「古い」という意味ではなく
「もとの」「いつもの」という意味で
使われています。
このあと、
ユパ様と城おじたちが再会する場面でも
「大伙儿」は使われています。
ゴル:犹巴大师
yóu bā dà shī
ユパ様
ムズ:您来啦
nín lái la
ようこそ
ユパ:大伙儿都好吧
dà huǒr dōu hǎo ba
みなも息災か
ここの「みな」の「大伙儿」も
やっぱりふつうな感じで使っていますね。
罵ってません。
「息災」という言葉が
国語力のない私には馴染みがないのですが
「病気や怪我などをせず健やかであること」
というような意味があるようです。
「大伙儿」は2箇所とも
字幕では「大家」となっていました。
同じ意味と理解していいということでしょうか。
「家伙」と「大伙儿」は
ぱっと見ちょっと似てますが
聞く方の印象は違そうですね。
「家伙」の方は使い方によっては
罵るニュアンスを含むこともあるので
使い方には注意が必要だと思います。
辞書には「大伙儿」と同義語で
「大家伙儿」が記載されてました。
「大家伙儿」は「大家」+「伙儿」なのかな?
「家伙」が含まれるのでドキッとします。
罵る意味合いはないんですよね?
「みんな」とか言う時は
やっぱり無難に「大家」を使いそうな気がします。