ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

ちょっとガラの悪い言い方?

千と千尋」では
個性的な登場人物が多いですが
その中で私てきにけっこう好感が持てるのが
「リン」です。
中国語では
「小玲xiǎo líng」と呼ばれています。

ちょっと言葉づかいが荒っぽいので
最初は怖い姉さんかと思いましたが
千尋が無事に湯婆婆のところから戻ってくると
「おまえうまくやったな」と喜んでくれて
人情あふれるいい人じゃん!と
一気に株が上がりました。
口は悪いですが、
言葉のあちこちに愛情が感じられます。

そのリンの台詞の中に出てくる言葉があります。
 家伙 jiā huǒ 
何のことだろうと辞書を調べると
 ①道具、武器
 ②人
 ③家畜
とあって、「口語」のマークと
「②は軽んじたりからかう意味を含む」と
記されています。

ホントに、
辞書ってあまり親切じゃないんですよね。
なんだか分かりにくい。

実際に物語の中でどのように使われているか
紹介します。

 那家伙常常不在这儿
 nà jiā huǒ cháng cháng bú zài zhèr
 あいつ時々いなくなるんだよ

オクサレ様騒動の後、
ベランダでリンと千尋
ほっとひと息ついてる場面です。
千尋が「ハクいなかったね」と話題をふって
リンが「またハク かよ」と返し、
それに続くセリフです。

従業員のみなさん、
「ハク様」って呼んでるのに
リンは陰で「あいつ」呼ばわりなんですね。

「家伙」は「やつ」とか
そういうニュアンスがあるようです。

「那家伙」→「あいつ」
「这家伙」→「こいつ」
「小家伙」→「こぞう」
「家伙们」→「やつら」

いろいろとバージョンを変えて使えそうですが
いずれもあまり上品な言葉とは
言えないかもしれませんね。

いろいろ調べると、
相手を見下すだけではなく、
親しみを込めて言うこともあるみたい?なので
中国の方に「家伙」呼ばわりされたとしても
それがどういう意図で使われたかは
時と場合によるのかもしれません。

そのあたりの微妙なニュアンスだったり、
どこまでが許容範囲なのかとかは
ちょっと判断が難しいので
使うときには十分気をつけたほうが
いいかもしれませんね。

物語の中では
他にもこんな感じで使われています。

 那家伙以经吃掉我们三个人了

 nà jiā huǒ yǐ jing chī diào wǒ men sān ge rén le
 あいつもう3人ものんじゃったんだぞ

  那个家伙真的跟来了啦
 nà ge jiā huǒ zhēn de gēn lái le la
 あ〜ついてくんぞ、あいつ

いずれもリンのセリフで、
「あいつ」はカオナシを指しています。
カオナシがさんざん暴れたあとなので
「あいつ」呼ばわりされても仕方ないですね。

実は釜爺も1回だけこの言葉を使っています。

 出来了,那家伙在那儿
 chū lái le   nà jiā huǒ zài nàr 
 出た!こいつだ!

竜になったハクに千尋が苦団子を食べさせて
口から銭婆のハンコを吐き出したときに
一緒に出てきた虫みたいなのに向かって言ったセリフです。
日本語は「こいつ」となっていますが
中国語は「这家伙」ではなく
「那家伙」になっていますね。

他の登場人物で「家伙」を使ったセリフを
言う人は他にはいません。
日本語のセリフで湯婆婆がカオナシのことを
「あいつ」と呼ぶ場面はあるのですが、
その部分の中国語のセリフでは
「他」を使っています。

「家伙」は
ちょっとガラが悪い言い方っぽいので
そういう言葉づかいを使いそうなキャラは
限定されてくるのかもしれませんね。