ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

人から聞いた話を伝える「听说」の用法

中国語で「听说」という言葉があります。
動詞で、「聞くところによると〜だそうだ」
「〜と聞いている」という意味で使われます。

「聞く」という意味の「听」と
「話す」という意味の「说」が合わさって
「聞いた話」または「話を聞いた」となるわけですね。

「听说」は文頭または文中に置かれて
その文章は「〜だそうだ」というニュアンスに変わります。

この「听说」は離合詞なので
(辞書で「听//说」と表記されてるアレです)
「〜(人)に聞いたところによると〜だそうだ」
「〜(人)から〜と聞いている」
というように聞いた相手を言う場合には
「听+(人)+说+〜」という語順になります。

例文です。
我听他说这个饺子很好吃
wǒ tīng tā shuō zhè ge jiǎo zi hěn hǎo chī
私が彼に聞いたところによるとこの餃子は美味しいらしいです

こんな感じで使います。
「離合詞」はクセ者のひとつですね。。

でも、上の例文
「我听」と「他说这个饺子很好吃」
に分けて考えたら
後半部分は
「彼はこの餃子は美味しいと話した」となり
それを「私は聞いた」となるので
万が一「听」と「说」が離れていて
「听说」だと気がつかなかったとしても
ちゃんと同じような意味に訳すことはできますね。


この「听说」
千と千尋」のセリフでも出てきます。

まずは兄役に大湯を掃除するように言われて
リンがそのことで湯女にちゃかされる場面です。

湯女:小玲,听说你负责大浴室
   xiǎo líng   tīng shuō nǐ fù zé dà yù shì
   リン、大湯だって?

リン:不用你管
   bú yòng nǐ guǎn
   ほっとけ

「负责」は「引き受ける」「担当する」
という意味の動詞です。
「聞くところによるとあなたは大湯を担当するそうですね」となります。

「管」は「口を挟む」「気にかける」
という意味なので
「不用你管」で「構わないで」「ほっといて」というニュアンスになります。


次はおクサレ騒動の後のベランダのシーンです。
千尋とリンの会話です。

千尋白龙不在耶
   bái lóng bú zài yē
   ハクいなかったね

リン:又是白龙
   yòu shì bái lóng
   またハクかよ

  那家伙常常不在这儿
   nà jiā huǒ cháng cháng bú zài zhèr
   あいつ時々いなくなるんだよ

  听说他平常都在外面
   tīng shuō tā píng cháng dōu zài wài mian 
   うわさじゃ湯婆婆に

  帮汤婆婆做坏事
   bāng tāng pó po zuò huài shì
   やばいことやらされてんだって

「听说」の部分は
日本語では「うわさじゃ」となっています。
誰に聞いたというわけでもなく
噂で耳にしたということですね。
「听说」以降の「他」からセリフの最後までが
「聞いた話」となります。


最後は千尋のセリフです。
竜の姿のハクの背に乗っている時の会話です。

我听我妈妈以前说过
wǒ tīng wǒ mā má yǐ qián shuō guo
お母さんから聞いたんで

其实我自己也不太记得了

qí shí wǒ zì jǐ yě bú tài jì de le
自分では覚えてなかったんだけど

我小的时候曾经掉到河里
wǒ xiǎo de shí hou céng jīng diào dào hé lǐ
私小さいとき川に落ちたことがあるの

「听」と「说」の間に
「聞いた相手」が入るバージョンです。
「私が私の母から以前聞いたところによると」となります。
「过」があるので「〜したことがある」
という意味が加わり
「私は以前母から〜と聞いたことがある」
という方がしっくりいくかもしれません。

何を聞いたかの部分は一番最後の行ですね。
その前の部分は「聞いた話」とは関係なく
「自分では覚えてなかったけど」
ということを補足する部分です。

「听」と「说」の間に
「我妈妈以前」が入り込んで
遠く離れてしまったために「听说」という
セット物だということを見落とすところでした。

離合詞・・
なんでそんなやっかいなものが
あるんでしょうね。
たぶん「千と千尋」の中でも
探せばたくさんありそうですが
まだそこまで手が回っていません(汗)
またおいおい考察していきたいと思います。

「听说」はうわさ話をする時は重宝しそうだし
「誰々が言ってたよー」と気軽に使えるし
自分の意見として言うのはちょっと・・
って時に「〜って聞いたことがある」
みたいに言っちゃうとか。

自己主張を曖昧に濁したいような
私のようなタイプの人にはおすすめの用法だと思います(笑)