ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

全然違う!とびっくりしたセリフ

千と千尋」の吹き替えの中で
日本語のセリフと中国語のセリフを比べると
ちょっと意味合いを変えていたり、
表現を変えていたり、
と言うものがチョコチョコあります。

そんな中でも
「日本語ではそんなこと一言も
言ってないじゃん!」っていう感じで
私がちょっとびっくりしたセリフを
紹介したいと思います。

千尋がハクと一緒に橋を渡る場面。
息を止めないと人間だとバレちゃうっていう
ちょっとヒヤヒヤする場面ですよね。
あの場面を見るたびに、
ついつい一緒に息を止めてしまうのですが
それ、私だけでしょうか(笑)。
けっこう長いんですよ。
苦しいので挫折して
千尋より先に息しちゃいます。

まさかのしゃべるカエル登場で
思わず千尋は息を吐いてしまいますね。

カエル:白先生,你去哪里了?
    bái xiān sheng   nǐ qù nǎ li le
   ハク 様ぁー、どこへ行っておったー?
    有人味
    yǒu rén wèi
    ひ、ひとか?
ハク: 快跑
    kuài pǎo
    走れ!

注目の場所はこの後です。
「人間が入り込んだ!」と大騒ぎになり
千尋が「ごめん、私息しちゃった・・・」と
落ち込みます。
そのあとに続くハクのセリフです。

「いや、千尋はよくがんばった」

これが日本語のオリジナルのセリフです。
それに相当する中国語がこちらです。

 没关系,那条路真的太长了
méi guān xi   nà tiáo lù zhēn de tài cháng le

直訳すると
「大丈夫、あの道は本当にとても長かった」

ん??
日本語ではそんなこと一言も言ってないぞ?と。

日本語の場合、
「ごめん・・」と落ち込む千尋に対して
ハク は「よくがんばったよ」と
励ましてあげています。

中国語の場合、
「あの橋は長かったんだから仕方ないよ」
と言うニュアンスでしょうか。
こちらもやはり
励ましてあげてるんだと思います。

物語の流れとして、
落ち込む千尋に対して「気にするな」という
フォローをしているという点で
どちらも同じように感じますが、
切り口が違う、というように思います。

日本の場合
失敗した千尋に対して、
がんばったんだから、たとえ失敗したとしても
がんばった君を責めることはしないよ、
というハクの優しさ。

一方中国の場合
失敗した千尋に対して、
あの橋は長すぎたから仕方ないよ、
あんな長い橋だったら誰だって失敗するよ
っていう、失敗した理由を明確にして
失敗しても当然なんだから
君を責めることはしないよ、
というハクの優しさ。

どちらにしてもハクは優しいですね。
そんなハクが大好きです。

でも日本語にないセリフを付け足してまで
そこにそのセリフをあえて入れたのには
何か文化的な違いがあるのかな?と
ついつい勘ぐってしまいます。

例えばですが
「ごめん、失敗しちゃった」
「いや、よくがんばったよ」
というやりとりは日本人なら
日常でよくあることですが
中国でこのままのセリフにしておくと
どこか違和感が残ってしまうのかもしれません。

失敗したのに褒める?という違和感。
なので「没关系」な理由を
あえて説明することで
失敗した千尋を責めない言い訳になる、
なんていうのはどうでしょう。

私の考えすぎですかね??
中国の国民性とか、
ちゃんと理解してる訳じゃないので
あくまで想像の域です。

でも、セリフひとつでその国の文化や生活習慣がわかることもあります。
日本語と中国語のセリフの違いをみつけて
そんなこんなをあれこれ想像しながら
勉強するのもなかなか楽しいもんです。