ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「風がにおう」というセリフの中国語表現

前回、風に関するセリフについて
いくつか取り上げました。
 ↓ ↓ ↓
風にまつわる表現

「風の谷」が舞台なので
風に関するセリフは度々出てきます。
今回は、風を使った気になる表現があったので
それについて書こうと思います。

トルメキアの巨神兵を乗せた船が
風の谷に墜落する少し前の場面です。
ミトがナウシカを呼びに来るところです。

ミト:公主,公主
   gōng zhǔ   gōng zhǔ
   姫様、姫様
 
ナウシカ米特,什么事
     mǐ tè   shén me shì
     何?ミト

ミト:戈尔说风里散发着一股奇怪的味道
   gē ěr shuō fēng li sàn fā zhe yī gǔ qí guài de wèi dào
   ゴルが風がにおうと言うとります

「風がにおう」という独特なセリフです。
ゴルが見張り役だったのだと思いますが
風の変化を察知することに
長けているのかもしれません。

文頭の「戈尔说」は日本語のセリフの
「ゴルが〜と言うとります」
の部分にあたります。

「風がにおう」の部分は中国語では
「风里散发着一股奇怪的味道」
という言い方をしています。

「散发」は
「(ニオイなどを)放つ」という意味です。
持続を表す「着」がついて
「〜している」という状態を表します。

「股」は量詞で、
細長いものを数えたり、
人の集団を数えたり、
力・感情・態度を数えるときに使います。
気体・水流・においなどのように
長く伸びていくものを数えるときにも
使うようです。

「奇怪的味道」は
「不思議なにおい」「変わったにおい」
というニュアンスになります。
「味道」は「味」という意味で
よく使われますが
「におい」という意味でも使われるようです。

私の辞書には「におい」の意味は
記載されていないのですが
千と千尋」の方でも「味道」は
「におい」の意味で使われていました。

日本語では「風がにおう」という
シンプルなセリフですが
中国語では直訳すると
「風が変わったにおいを放っている」という
ちょっと長い表現になっていますね。
量詞なども使われているし、
持続を表す「着」がついたりして
ちょっと複雑なように感じます。

そもそも「風がにおう」という表現は
本当に何か変なにおいがしたっていうよりは
何か風の異変を感じた
っていう方じゃないかなと思うので
(刑事ドラマとかでよく見る「何かにおうな」みたいなセリフと同じ感じです)
そのニュアンスを翻訳するのって
なかなか難しそう・・。

そういう意味では
字幕の方が意図が近いように思います。
字幕ではこのように表現されていました。

戈尔说风好像有怪
gē ěr shuō fēng hǎo xiàng yǒu guài

「風がにおう」を
「风好像有怪」と表現しています。
「好像」は「〜のようである」
「〜な気がする」という意味なので
「風が奇妙な(普通でない)気がする」
となります。

吹き替え版の中国語の方が
「におい」という言葉を使って
日本語に忠実に訳してるように思いますが
ニュアンスとしては字幕版の方が
しっくりくるような気がします。

ひとつのセリフをとっても
いろいろな解釈の仕方があると思うので
吹き替えと字幕の訳し方が違うと
比べることができるのでおもしろいですね。



にほんブログ村 外国語ブログ 中国語へ
にほんブログ村