ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「皆殺し」と「生きのびる」の中国語の表現

風の谷のナウシカ」は
戦闘シーンがあったり、侵略とか略奪とか、
ちょっと荒っぽい内容も含まれるので
物騒なセリフもちらほら出てきます。

「殺す」とか「死ぬ」とか
そういうセリフがあちこちに飛びかう一方で
「生きる」ということを訴えるセリフも
出てきます。


「生」と「死」を感じさせる
印象的なシーンのひとつに
トルメキア軍が城に攻め込んできた場面が
あります。
ジルが殺されたことを知り
ナウシカが我を忘れてトルメキア兵に攻撃し
そこにユパが止めに入ります。

このあとの長セリフ、すごいですね。
トルメキア兵に対して説教をしたあと
ナウシカに対して
気持ちを沈めるよう諭しますが
どちらに対しても説得力があり、
みんな黙ってしまいます。

その長ゼリフの一部抜粋です。

娜乌西卡,你一定要冷静
nà wū xī kǎ   nǐ yī dìng yào lěng jìng
ナウシカ、落ち着け、ナウシカ

现在打起来的话
xiàn zài dǎ qǐ lái de huà
今戦えば

谷里的人会全被杀光
gǔ lǐ de rén huì quán bèi shā guāng
谷のものは皆殺しになろう

このセリフの中で気になるワードは
「皆殺し」という言葉です。
中国語では「全被杀光」と表現されています。

「全」は「すべて」「みな」という意味で
ここでは副詞として使われています。
「杀」は「殺す」という動詞で
「被」で受け身を表し「殺される」となります。

「光」は結果補語で、動詞と合わせて
「〜し尽くす」「〜してすっかりなくなる」
というニュアンスになります。
「杀光」で「殺し尽くす」という意味になり「皆殺し」という解釈になります。

「全被杀光」で「みんな殺し尽くされる」
(←日本語が変?)となります。

この部分の字幕も気になるところです。
字幕の方は違った表現をしていました。

会害死所有人民
huì hài sǐ suǒ yǒu rén mín

「害死」は「殺害する」という意味です。
(「死」が結果補語という解釈もあります)
「所有」は「すべての」「あらゆる」
という意味の形容詞です。
主語は省略されていますが、
「敵(トルメキア軍)」が主語にあたると
推測されます。

「(敵は)すべての民を殺害するでしょう」
となります。

吹き替えも字幕もどっちも、
おそろしいセリフですね。。。


そのあとに続くユパのセリフです。

先保住性命
xiān bǎo zhù xìng mìng
生きのびて

再等机会反击
zài děng jī huì fǎn jī
機会を待つのだ

ここでの気になるワードは「生きのびる」です。
「性命」は「命」「生命」
「保」は「守る」「保護する」という動詞。
「住」は結果補語で「安定・固定」を表します。
「保住」で「保護した状態を維持する」
のようなニュアンスになるんだと思います。

「先保住性命」で
「まず命を守りきる」のような意味から
「生きのびる」となったんですね。

なんだかステキなセリフです。
これは字幕も気になります。
こちらも違った表現をしていました。

最重要的是活下去
zuì zhòng yào de shì huó xià qù

「活」は「生きる」という動詞です。
「下去」は方向補語で
「〜し続ける」という意味を表します。
「最も重要なのは生き続けることです」
となります。

こちらもステキなセリフですね。
こういうフレーズはそのまま覚えたいです。

ひとつ気になるのがそのあとのセリフです。
日本語では「機会を待つのだ」となっていて
何の機会を待つかについては触れていませんが
中国語では「反击」という言葉を使っています。
「反撃する」という意味の動詞です。
「反撃の機会を待つ」と
敵を前にして言っちゃってますが
大丈夫なのかな?とちょっと心配になります。


「皆殺し」と「生きのびる」
日常であまり使う機会はないかもしれませんが
ゲームとかする人はこういう言葉も
よく使うかもしれませんね。
ゲームによるのかな?
ゲームしないので私はよく分かりませんが
息子や娘がゲーム(マインクラフト)しながら
よく物騒な言葉を発しているので・・

吹き替えと字幕で違う表現をしていると
2倍楽しめて2倍勉強になりますね。
どっちの言い方の方が好き、とか
どっちの方が日本語の解釈に近いとか。
そういう事を考えるのも楽しいです。

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