ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

数字を使った言葉

中国語の数字の表記は日本語とほぼ同じです。
国語学習者としては覚える手間が省けて
嬉しい限りです。

一、二、三、四、五、六・・・
一、十、百、千、万、亿・・・
億は違いますね。
あと、もちろん読み方(発音)も
それぞれ違いますが。

数字を使った言葉もあります。
日本語だったら
「十分」は時間の「じゅっぷん」の意味と、
満たされる意味での「じゅうぶん」の
二通りがありますよね。

中国語でも「十分」は副詞として
「非常に、まったく、十分に」という
意味合いで使われることがあります。

それにちょっと似たシリーズとして
「千万」という言葉があります。

日本語では「せんばん」と読んで
①はなはだしいこと、この上もないこと
②さまざまに、いろいろに
という意味になります。

鬼滅の刃での冨岡さんの名言「笑止千万」は
「非常にばかばかしいさま」を表しています。
「笑いが止まらないことこの上ない」みたいな感じでしょうかね。

中国語では「千万 qiān wàn 」は
①1千万
②くれぐれも、ぜひとも
という意味を表します。
②の場合は副詞として使われます。

この「千万」という言葉は「千と千尋」の中でも何回か使われていました。
どの様なセリフで使われていたか、
紹介したいと思います。


千尋が湯婆婆と契約を結び、
ハクに連れられて従業員たちに紹介される場面です。

可千万别分发到我们这儿来
kě qiān wàn bié fēn fā dào wǒ men zhèr  lái
私らのとこにはよこさないどくれ

みんなに「くさいくさい」言われて
ちょっと千尋がかわいそうなシーンですね。
人間臭いって、どんな臭さなんでしょうね。

「千万」で「くれぐれも」と
念を押す表現になっていて
さらに「可」でその要求を強調しています。
日本語のセリフではそこまでじゃなさそうなんですけどね・・。


次は千尋のセリフです。
千尋が銭婆のところへ行く決意をし、
怪我をして意識がないハクに向かって
いうセリフです。

白龙我一定会回来的
bái lóng wǒ yī dìng huì huí lái de
ハク 、きっと戻ってくるから

你千万不能
nǐ qiān wàn bù néng sǐ
死んじゃダメだよ

こちらのセリフも、
日本語の方では「くれぐれも」といった様な
表現はされていませんが
中国語ではあえて「千万」を入れていますね。
でも物語の流れとしては不自然さはなく
切実な気持ちが伝わっていい感じになってるように思います。

この後の釜爺のセリフが大好きです。

你不懂吗?这就是爱
nǐ bù dǒng ma   zhè jiù shì ài
分からんか、愛だ、愛


「千万」を使ったもう一つのセリフです。
橋での息止めが失敗した後、
ハクが千尋に湯婆婆の説明をしている場面です。

她会找机会引诱你
tā huì zhǎo jī huì yǐn yòu nǐ

说想要回家,不想工作
shuō xiǎng yào huí jiā bù xiǎng gōng zuò

你千万不能这么说
nǐ qiān wàn bù néng zhè me shuō

日本語のセリフはこうです。
「嫌だとか帰りたいとか
言わせるように仕向けてくるけど
働きたいとだけいうんだ」

日本語と中国語の表現の仕方が違うので
別で表記しました。

中国語を直訳すると
「彼女(湯婆婆)は機会を探して君(千尋)に
家に帰りたいとか働きたくないとか言う様に
仕向けてくるけど、
君はくれぐれもその様に言ってはいけないよ」
と言う様な感じでしょうか。

日本語のセリフと比べて
意味としては大きな違いはなさそうですが、
「働きたいとだけいう」が
「働きたくないとか言ってはいけない」という表現に変わっています。
で、そこに念を押す「千万」が入っているわけですね。


三つのセリフ
「臭い人間と一緒にするな」
「死なないで」
言ってはいけない
は、どれも「くれぐれも」と
念を押したくなる案件なので
中国語で「千万」が加えられた事は
とてもナイスだと思います。

一方、
日本語には念を押す言葉は入ってませんが
物語の流れとしては言葉で伝えなくても十分
その切実さは伝わるシーンになっているので
日本語版が言葉足らずだとか、
物足りないとか、
そう言った印象も特にありません。

「あえて言葉にしなくても十分伝わる」という日本の美しい文化でしょうか?


ちなみに
中国語には「万万」という言葉もあって
①億
②どうしても、絶対に
という意味があるそうです。
こちらの言葉は「千と千尋」の中には登場しませんでした。