ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

千と千尋に出てくる成語③

千と千尋」に出てくる成語について
紹介したいと思います。
今までもいくつか紹介してきました。

千と千尋に出てくる成語
千と千尋に出てくる成語②

今回はふたつ。
どちらも湯婆婆のセリフです。
しかも同じ場面でそのふたつが使われていました。

湯婆婆が寝ている間に
湯屋の従業員たちがカオナシを散々もてなし
挙げ句の果てに暴れたカオナシ
何人か食べられちゃって
それを知った湯婆婆が怒っている場面です。

你们真是利欲熏心
nǐ men zhēn shì lì yù xūn xīn
欲にかられて

招惹这种人进来
zhāo rě zhè zhǒng rén jìn lai
とんでもない客を引き入れたもんだよ

我没有到以前不要轻举妄动
wǒ méi yǒu dào yǐ qián bú yào qīng jǔ wàng dòng
私が行くまで余計なことをするんじゃないよ

まずひとつ目が1行目の「利欲熏心」です。
「利益や欲に目がくらむ」
という意味です。

「熏」は「いぶす、燻製にする、においがはなをつく」などの意味を持つ動詞ですが
「影響を受ける、感化する、惑わす」
などの意味もあります。
「利益や欲に心を惑わす」という感じですね。

セリフの方を直訳すると
「あなた達は本当に欲に目がくらんだ」
となります。

この部分、字幕だとこうなっています。

被利欲熏心
bèi lì yù xūn xīn

成語に「被」をつけて「使役」にしています。
こういう使い方もありなんですね。
「〜する」から「〜される」の表現に変わり
「欲に惑わされた」みたいな感じになるのでしょうか。


もうひとつの成語は3行目の「轻举妄动」です。
「よく考えないで軽々しく行動する」
という意味があります。

「轻举」は「軽率な行動」という意味の名詞で
「妄动」は「軽率な行動をする」という意味の動詞になります。
同じような意味の言葉を組み合わせて
出来た言葉なんですね。

セリフの方を直訳すると
「私が到着する前に軽率な行動をとらないように」というような意味になります。


湯婆婆のセリフに出てきた「利欲熏心」ですが
実は銭婆のセリフにも出てくるんです。
千尋と銭婆との会話で、
銭婆のハンコを盗んだハクについて、
銭婆が話す場面です。

为了学魔法当我妹妹的手下
wèi le xué mó fǎ dāng wǒ mèi mei de shǒu xià
魔法の力を手に入れようとして妹の弟子になるなんてね

真可怜啊
zhēn kě lián a

任由我利欲熏心的妹妹的摆布
rèn yóu wǒ lì yù xūn xīn de mèi mei de bǎi bù
この若者は欲深の妹の言いなりだ

「利欲熏心」に「的」をつけて
「妹妹」を修飾しています。
「利益や欲に目がくらんだ妹」となります。
日本語では簡潔に「欲深の妹」と表現していますね。

「真可怜啊」は直訳すれば「とてもあわれだ」というような意味になりますが
この部分に相当する日本語のセリフはありません。

湯婆婆も銭婆もおんなじ言葉を使うなんて
さすが双子ですね。

中国語って、ちょっとした会話の中にいくつも成語を入れてきて、すごいですよね。
こういう会話は
年配の人に見られる傾向なのか、
それとも女子高生とかでも成語が日常会話に
入ってきたりするんでしょうか。

千と千尋」の中では
いくつか成語が出てきますが
湯婆婆、銭婆、釜爺の年配層のほか
ハクやリンの若年層も
会話に成語を取り入れています。
女子高生はどうか分かりませんが
若い世代にも日常で使われているのかもしれませんね。