ジブリで中国語を学ぼう!

ジブリ映画の中国語吹き替えを聴いて中国語を勉強しています。

「既然」の用法

中国語で「既然」という接続詞があります。
「〜である以上は」「〜するからには」
という意味で使われます。

「然」がつく言葉がいろいろあるので
ちょっと整理しようと思っています
(自分なりに)。

以前「果然」「虽然」について書きました。

「果然」の用法
「虽然」の用法

「既然」はすでに実現していることや、
確実となっている前提を述べる時に使われ、
その後で「就」「也」「还」などで呼応して
前提に基づいた結論を述べます。


風の谷のナウシカ」の中で
「既然」が使われていたセリフを紹介します。

ユパ様に自重するように言われていたのに
城おじたちがトルメキアと
戦いを始めてしまった場面での
ゴルのセリフです。

既然要开打就硬着头皮上了
jì rán yào kāi dǎ jiù yìng zhe tóu pí shàng le
始まっちまったものは仕方ねえ

「既然要开打」が前提の部分になります。
「打」は「戦う」「攻める」
という意味があります。
「开」は「始める」という意味があります。
「戦いを始めたからには」というような
ニュアンスになります。

それに呼応して「就」があります。
「硬着头皮」は慣用句で
「やむを得ず強行する」「仕方なく覚悟を決めて〜する」というような意味になります。

全体では
「戦いを始めたからには止むを得ず強行する」
というような意味になります。
「始まっちまったものは仕方ねえ」
という日本語のセリフと比べると
中国語の方は省略されている部分が
丁寧に補われているように感じます。

この部分の字幕はこうなっています。

既然开打就要撑到最后
jì rán kāi dǎ jiù yào chēng dào zuì hòu 

慣用句の「硬着头皮」を使わずに
「要撑到最后」という言葉で表現しています。
「撑」は「持ちこたえる」という意味なので
「最後まで持ちこたえなければならない」
となります。

「戦いを始めたからには止むを得ず強行する」
「戦いを始めたからには最後まで持ちこたえなければならない」

ちょっとニュアンスが違いますね。
日本語の「始まっちまったものは仕方ねえ」が
ふわっとした言い方なので
いろいろな解釈が生まれるのでしょうね。


次はクシャナのセリフです。
巨神兵を酸の海に沈めて国へ帰るよう
ユパ様に説得された後です。

巨神兵不怕火也不怕水
jù shén bīng bú pà huǒ yě bú pà shuǐ 
やつには火も水も効かぬ

即然已经苏醒
jí rán yǐ jīng sū xǐng 
歩き出すまでは

就不会再沉睡
jiù bú huì zài chén shuì 
もはや動かすこともな

「即然」以下のセリフですが
日本語のセリフとは
ちょっと解釈が違うようです。

「苏醒」は「蘇生する」
「沉睡」は「熟睡する」なので
「すでに覚醒した以上は、再び眠ることは
ないだろう」となります。
こちらも「即然〜就〜」の形ですね。

日本語は「歩き出すまでは動かせない」
ということを言ってるので
「覚醒したらもう眠らない」
と言ってる中国語とは
だいぶ意味に違いがあるように思います。

どちらも「もうどうにもならない」ってことを
言いたいってことだけは分かります。


「既然」は「〜である以上は」という日本語が
あてられていることが多いですが
「せっかく〜なのだから」という訳し方を
されていることもあります。
 
既然来了,就一起吃吧
jì rán lái le   jiù yī qǐ chī ba 
せっかく来たのだから、一緒に食べましょう

この「せっかく」のニュアンスは
前後の文脈によっては当てはまりません。
今回のゴルとクシャナのセリフは
「せっかく」という感じではないですね。


話は「既然」から離れますが
「やつには火も水も効かぬ」
の部分も興味深いです。
「不怕」は「恐れない」という意味なので
「不怕火也不怕水」で「火も水も恐れない」
というニュアンスになります。

似たような言い回しで
「天不怕,地不怕」という言葉があります。
「天をも地をも恐れない」という意味から
「怖いもの知らず」という意味になるようです。


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